【人的資本経営期のHR用語集】第137回 静かな退職(後編) 自ら熱意をセーブ 働きに給与見合わぬと/木谷 宏
2025.07.17
【労働新聞】
背景に組織への失望も
組織との心理的契約を静かに破棄したまま働く社員が、米国のみならず日本でも増加している。その背景としては、①ハッスルカルチャーの衰退、②ワーク・ライフ・バランス(WLB)の重視、③キャリアの不透明感、④組織への失望、⑤人手不足による業務過多などが挙げられよう。静かな退職者はやりがいや昇進を求めずに淡々と決まった仕事をこなすが、それに満足している点が従来の問題社員やローパフォーマーとは異なる。
調査によると、多くの人々が“静かな退職によって得られたものがある”と考えており、得たものは「労働時間や自分の時間への満足感」と「仕事量に見合う給与額への満足感」が上位を占める。前者はWLBが実現できている姿に他ならず、決して否定的に捉えてはなるまい。
問題は後者である。このことは、…
筆者:県立広島大学大学院 経営管理研究科 教授 木谷 宏
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令和7年7月28日第3506号12面 掲載