【人材獲得競争に勝つ! スタートアップ企業から考える人事処遇の仕組み】第1回 制度設計の主目的 「人材育成」に非ず 中途採用者の「報酬決定」/金田 宏之

2024.03.28 【労働新聞】
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 初任給として30万円を提示するなど独特な人事制度をアピールするスタートアップ企業がめだってきた。中小企業や伝統的な日本企業は、新興企業との人材獲得競争でどこに勝機を見出すべきか。また、学べる部分は――?本連載では、これらについて解説していただく。(編集部)

新卒一括の大手とは異なる事情

 筆者は、コンサルタントとして主にスタートアップ企業をクライアントとしている。ゼロから人事制度を設計し、制度運用まで支援している。本連載では人事制度を「等級制度・評価制度・報酬制度の3本柱で構成される制度」と定義する。

 新しい価値を生み出し、これまでの常識を変えていくのが、ベンチャー企業である。そのなかでも、外部から資金調達を実行し、「急成長」をめざすのがスタートアップだ。ベンチャー企業との違いは急成長への期待値、つまり企業の成長速度である。

 スタートアップにおける人事制度の主な目的は、大企業とは異なっている。大企業は、「人材育成」であり、その名のとおり、人を育てることを主目的に人事制度が設計され、運用される。これまでの価値を継続して提供できるようにすると同時に、新しい価値を創造してこの先も長期で社会に貢献できるよう人的資源を確保していくためだ。長い年月を経て蓄積された技術やノウハウを、次世代に継承しながら、さらに新しい時代や環境に合わせて変化させることをめざし、人事制度を人材育成のために使っている。等級制度によって人材育成の指針を示し、評価制度によって業績目標や成果目標の他に育成目標を設定し、動機付け、フィードバックを行っている。そのうえ、プロセスや行動まで評価し、改善を促す。どの企業でも大枠は似ており、多くは主目的を「人材育成」と謳っているだろう。

 スタートアップでは、「人材育成」の目的がまったくないわけではないが、主目的ではない。主目的は…

筆者:㈱インプリメンティクス 代表取締役 金田 宏之

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令和6年4月1日第3443号11面 掲載

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