【対応力を鍛える人事学探究】第2回 社外への漏洩なくとも守秘義務違反? 社内でも管理必要に 懲戒処分認めた事案あり/坂井 瞭平
2022.09.08
【労働新聞】
機微な内容を部門外に拡散
在職中の守秘義務違反に関するケースとして、マネジメントサービスセンター事件(東京地判平30・9・28)を紹介する。会社は、管理部の財務担当部長が、特定社員の報酬額や未発表の人事、決算などの情報を含んだメールを部門外の社員などに複数回転送し、情報共有したことを理由として、2階級降格の懲戒処分をした。同部長は懲戒処分の無効を主張し、降格前の等級にあることの確認を求めた。
労働者は、在職中、労働契約の付随的義務(信義則に基づく誠実義務)の1つとして、就業規則・契約などの定めの有無にかかわらず、使用者に対し当然に守秘義務を負う。これに反した場合、懲戒処分、解雇、損害賠償請求が認められ得る。守秘義務の対象が就業規則・契約などで具体的に特定されていれば、差止請求も認められると考えられている。…
筆者:第一芙蓉法律事務所 弁護士 坂井 瞭平
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令和4年9月12日第3368号12面 掲載