【高まるリスクに対処!新時代の労働時間管理】第2回 指揮命令下にあるか否か 「黙示の指示」に注意 在宅勤務普及で変化も/岸田 鑑彦

2022.01.20 【労働新聞】
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止めないだけで「指示」

 割増賃金の支払い義務の観点から、労働基準法における労働時間をみていきたい。労基法32条において「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」、「使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」と定めている。また同37条において、労働時間を延長したり、休日に労働させたりした場合の割増賃金の支払い義務を定めている。そして、労基法が許容する以上の労働をさせたり、時間外労働をさせたりしたにもかかわらず割増賃金の支払いをしなかった場合には、刑事罰の対象になる(労基法119条、120条)。したがって、会社として労基法の労働時間を正しく理解することは不可欠であり、労働時間の誤った理解や管理が甘いと、労基法違反の問題や未払い残業代請求のリスクが高まる。

 労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるとされている。このように労働時間に該当するためには、使用者の指揮命令下に置かれていること、使用者の明示または黙示の指示があることが前提である。

 たとえば所定始業時間が午前9時の会社で、ある従業員が朝5時に起床して、気が向いたからといってそのまま自宅で作業を始めたとしても、ただちに労働時間になるわけではない。このような時間に会社は当該従業員を指揮命令下に置いていないし、自宅で朝5時に作業をするように指示もしていないからだ。仮に当該従業員が本来行うべき業務であったとしても労基法の労働時間には該当しない。

 もっとも、未払い残業代請求においては、「黙示の指示」があったと主張されることが多く、黙示の指示が認定された場合には労働時間となる。

 たとえば…

筆者:杜若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦

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令和4年1月24日第3337号6面 掲載

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