【裁判例が語る安全衛生最新事情】第363回 アスベスト遅延損害金事件 健診での異常確認時を起算日に 福岡地裁小倉支部平成31年3月12日判決

2021.02.25 【安全スタッフ】
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Ⅰ 事件の概要

 本件は、アスベスト粉じんにばく露して肺がんにり患した原告Xの、被告を国とする損害賠償請求権の遅延損害金の起算点が問題となった事件である。原告Xは、石綿スレート工場で石綿粉じんにばく露したことにより肺がんにり患した者である。

 アスベストの国家賠償請求事件では、すでに泉南アスベスト第2陣訴訟の最高裁判決が出され(最高裁一判平成26年10月9日判決)、その結果、被告国Yは、その原審である大阪高裁判決(大阪高裁平成25年12月25日判決)の判断に従って、訴訟上の和解を行う方針であるが、本件もその和解の方針に沿ってXは訴えを提起した。そのため、本件では、Xが国家賠償法により被告国に対して損害賠償請求権を有することには争いがないが、Xのり患している肺がんという損害について遅延損害金の起算日に争いがあり、判決となった。

 Xは、平成20年9月26日には肺がんの診断を受け、同年11月7日に受けた生検によりその診断が確定している。また、Xの肺がんのり患については、平成22年2月12日に労災認定がされている。

 Xは、肺がんの診断日から遅延損害金が発生したとし、被告国は労災認定時から遅延損害金が発生すると主張した。

Ⅱ 判決の要旨

1、不法行為に基づく損害賠償請求権の遅滞

 不法行為に基づく損害賠償請求債務は、…

執筆:弁護士 外井 浩志

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2021年3月1日第2373号 掲載

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