【裁判例が語る安全衛生最新事情】第467回 アクサ生命事件 残業による心身不調で慰謝料認める 神戸地裁令和2年6月10日判決
2025.06.26
【安全スタッフ】
Ⅰ 事件の概要
被災者Xは、被告Y社の営業所の育成部長であり、営業所の社員採用や育成業務に従事してきた。Xは、育成を担当していた新入社員Hから、Xの指示に従って営業活動をしたのに叱責された、帰宅後の遅い時間に携帯電話で長時間活動報告を求められた、電車内で周囲に人がいるなかで大きな声で叱責されたという愁訴があり、出社しなくなって退職したことから、Y社から当事者や関係者に対する事情聴取が行われ、戒告の懲戒処分を受けた。Xは、この懲戒処分についてY社に対して異議申立てをした。また、Xは、上司によるXへの指示は業務の適正な範囲を超えたものであり、適正な範囲を超えて精神的肉体的苦痛を受けた、また、Y社が36協定の締結もなく、長時間労働を放置した点について安全配慮義務違反があるとして、被告Y社に損害賠償請求訴訟を提起した。
Ⅱ 判決の要旨
1、原告Xのパワハラ行為について
パワハラ行為の被害者とされる社員Hは育児を理由として、Y社において午後4時までの短時間勤務を認められた者であったが、その在職中、帰宅後の午後7時、8時を過ぎてから、遅いときには午後11時を過ぎてからXから電話があって…
執筆:弁護士 外井 浩志
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2025年7月1日第2477号 掲載