【特別企画】座談会 スキルベースの労働市場改革(後) 業界団体が定義化の主導を 職種と場所の限定進む/鎌田 耕一・山藤 昌志・宇佐川 邦子

2024.03.07 【労働新聞】
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左から東洋大学 名誉教授 鎌田 耕一氏、三菱総合研究所 主席研究員 山藤 昌志氏、ジョブズリサーチセンター センター長 宇佐川 邦子氏

 前編に引き続き、東洋大学の鎌田耕一名誉教授、三菱総合研究所の山藤昌志主席研究員、ジョブズリサーチセンターの宇佐川邦子センター長による労働市場改革の議論を掲載する。後編では、宇佐川センター長がスキル可視化を実践する箱根DMO(観光地域づくり法人)の取組みを紹介。業界団体の果たす役割の重要性に言及した。個々の企業が外部の評価尺度を取り入れるに当たっては、ITスキルなどから始め、効果を実感していく方法が考えられるとしている。

宇佐川 三菱総合研究所の提言には共感する部分がある。私は元々ジョブというより、タスクで需給調整をしないとマッチングしないと思っていた。たとえば、コンビニスタッフというジョブをタスクに分解すると、レジ打ち、品出し、清掃、発注など大きく7つに分かれる。これら7つに求められるスキルは全く違うが、これを1人で対応しているケースも多い。営業や事務、専門職、多くのジョブでマルチ化している。苦手なタスクが含まれることが、応募を躊躇する原因になっている。タスクに分解し、そのタスクのみを仕事にすれば採用ができるのではないかと想定し、人手不足が言われ始めた2013年から、業務を切り分けシングルタスクを作り、それを組み合わせる取組みを始めた。タスクをベースに考えた方が、質と量のミスマッチを解消しやすいことは現場で体感している。

 今、箱根町と一緒に地域の人事部という取組みを進めている。中小企業が1社だけで、従業員に大企業と同じような経験や機会を提供することはなかなか難しい。そこで、箱根のDMO(観光地域づくり法人)が中核になり、箱根の旅館やホテルが集まり、みんなで新しい働き方を開発したり、合同で求人サイトを作ったりしている。さらに、各社の入社1年目の従業員を集めて新入社員研修を行い、「疑似同期」を作って、何かあれば疑似同期に相談できる環境も作った。

 ほかにも、参加旅館やホテルの方々には、一緒に勉強しながらタスクを切り出すワークをしてもらっている。2時間くらいのタスクを他社と共同しながら作っていくと、参加者のなかに共通言語が生まれる。この取組みを続けているうちに、だんだん各社が切り出す単位が揃ってきた感がある。タスクとスキルの棚卸しは1社だけでなく、企業の連合体で行う方が良いケースもある。

山藤 我われの提言では、スキルベースの共通言語を上から①日本版O-NET、②産業・職種別スキル体系、③個社別スキル体系の3層に分けている。今おっしゃっていたのは真ん中の産業・職種別の部分で、業界団体などが定義を作ると、…

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この連載を見る:
令和6年3月11日第3440号15面 掲載

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