【今週の視点】職場環境変化でストレス 気付くことが大切

2019.04.24 【労働新聞 今週の視点】
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 転勤、昇格昇進、人事異動と春は職場が大きく変わる時季。働く環境の変化は、人の心理状態に影響を及ぼすのはいうまでもない。とくに上司は「労働者の心の健康保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」の観点から部下の言動に注意する必要がある。部下がメンタル不調に陥った場合は、WEBサイト「こころの耳」が参考になる。万が一のときに備えたい。

「こころの耳」の活用を

 春は転勤、昇格昇進、人事異動など働く人にとって節目となる季節だ。周囲の人や設備など職場の環境が大きく変わり、慣れない業務に携わることで、心身に影響を及ぼす労働者が少なくない。

 思うように仕事が進まない苛立ちや失敗は、ストレスとなって労働者に襲いかかり、メンタルヘルス不調を引き起こす。うつ病などとなって、休業を余儀なくされた場合は、本人はもとより会社の業務に影響し大きな損失となりかねない。

 職場からメンタル不調者を出さないために何が必要か、万が一、メンタル不調者が現れた場合はどう対応したら良いのか、会社は事前に知識を備えておきたい。厚生労働省では、(一社)日本産業カウンセラー協会に委託して「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳」を開設している。「どこに相談すれば良いのか」「どのように取り組めば良いのか」「どのような支援があるのか」などの疑問を分かりやすく解説しているのが特徴だ。情報を整理して提供しているので、活用しやすいWEBサイトとなっている。

 たとえば、「事例紹介」では、職場環境により心理的に負荷を負ったケースを紹介。30歳の4月、昇進して大阪に転勤になった大手企業のシステムエンジニアは、初めての管理職の戸惑いと転勤直後のトラブルで8月ごろから不眠となった。父親の病気と婚約者との結婚解消が追い打ちとなり、うつ状態になり医師から3カ月間の休業と実家での療養を指示された。その後、仮勤務を経て実家のある東京に復職することとなり職場復帰を果たしている。

 半導体メーカーの技術者は定期人事異動で課長に昇進したものの、口数が少なくなり、無表情になった。精神科診療所を受診し、「うつ病により、3カ月程度の自宅療養が必要」という診断を受けることになる。本人によると、不慣れな課長業務と同時に事態収拾のために現場を走り回ることになり、心身の疲れを助長したとのことだった。その後、職位は担当課長に異動し、復職が実現。もとの課長職への復帰をめざすという。メンタル不調は、人それぞれとなるだけに対応が難しい面もあるが、ひとつのヒントとして役立てることが可能だ。また、「労働者の心の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」では、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」が重要としている。とくに「ラインによるケア」は、管理監督者が「いつもと違う部下」に早期に気が付くことが大切だとする。

 「遅刻、早退、欠勤が増えていないか」「仕事の能率が悪くなっていないか」「表情に活気がなく、動作に元気がなくなっていないか」など部下が通常とは違う行動をとるようになったら要注意だ。メンタル不調のサインを見逃さないようにするためにも、日ごろから部下に関心を持って接することが必要となってくる。

 なお、こころの耳では、「e-ラーニングで学ぶ『15分でわかるラインによるケア』」というページがあり、相談対応や支援の仕方を分かりやすく示している。

 このほか、全国にある相談窓口一覧など約600のコンテンツがある。スマホでもみることができるので、活用したい。

【高野 健一 記者】

平成31年4月22日第3206号7面 掲載

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