【人事学望見】第1279回 罪つくりな労働条件書 悪事が露見して雇止め有効に!?
厚労省では、当初求職者に明示された労働条件は、そのまま労働契約の内容となることが期待されているものであり、変更などの明示を行うか否かにかかわらず、容易に変更してはならない、と厳しく指導している。法改正による強化で改善されたものの、トラブルは絶えない。
カゲに隠れ失敗作を処理
障害等級3級のうつ病患者をめぐる雇止め、という複雑な事案がある。判決文にはないが、原告は正社員でうつ病から再起しようとしたのではないかともとれる思惑が感じられたが、就労状況から否定せざるを得なかったのは藍澤證券事件(東京高判平22・5・27)だ。
事件のあらまし
Yでは平成18年4月当時、前任者が退職したため、法定の障害者雇用率を下回った事情などから、求人票により、ハローワークを介して後任者を募集した。Aは、安定した雇用形態(正社員化)を求めて同月17日、Yの面接を受けた。
Yは、面接の結果、Aを契約社員として内定し、同月18日内定通知書、雇用契約書案、契約社員就業規則などを送付、前職の引継ぎの関係から就労開始日は同年5月21日、終期は同年10月31日(第1契約)とされ、特段の異議(正社員希望など)を述べることなく労働契約書を提出した。Aの担当業務は、郵便物回収および配達、郵便料金の支払い、名刺作成、事務用品の発注など簡単なものだったが、様ざまなミスがあり、社内から苦情が相次ぐ状態だった。それでもYは契約を更新することとし、…
この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら