【特集1】爆発の原理原則教える 「安全の部屋」でグループ討議 失敗を展示し教訓語り継ぐ/カネカ鹿島工場

2019.01.09 【安全スタッフ】
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 ㈱カネカ鹿島工場(茨城・神栖市)は、工場敷地内に従業員教育のための「安全の部屋」を設けている。過去の事故事例を集めた失敗博物館と体感教育を通じ、災害の怖さを伝え、二度と繰り返してはならないと心に刻みつける。討議によって受講者に考えさせることで、爆発や挟まれ災害が起こる原理原則を理解させている。

事故の記憶を風化させない

 塩化ビニル樹脂をはじめ、食品やライフサイエンスなど暮らしを豊かにするための製品を製造する化学メーカーである㈱カネカ。同社の鹿島工場では、塩化ビニル樹脂や発泡スチロールの原料となるカネパール、断熱材に使われるカネライトフォームなどの発泡製品を製造する。鹿島臨海工業地帯内に東地区、西地区2拠点の生産拠点を備え、57万㎡の敷地で、約230人の従業員が働いている。

 「尊い作業員の命を失った事故を、二度と発生させてはならない」。「安全の部屋」設立の背景には、同工場で2009年に起こった爆発事故の記憶を忘れてはならない、従業員の魂を込めた誓いの思いがある。

 「学ぶことは安全最優先の心と技である」と掲げ、過去の失敗を語り継ぎ、事故の記憶を風化させず、繰り返しの学習を通じて、安全確保の精神と知識、技術を磨く。

「災害に臆病になること」

 安全の部屋での教育は、1回10人程度を各部署から集め、半日ほどかけて行われる。は安全の部屋教育の基本カリキュラム。「失敗博物館」「体感学習蒼海塾」「保全実習室」の3つで構成されており、入口を入ったところにある1つ目の「失敗博物館」では、過去の失敗から災害の怖さ、教訓を教える。

表 安全の部屋教育の基本カリキュラム

 ① 過去の失敗に学ぶ (座学、語り掛け)
 ② 異常現象時の通報について (座学)
 ③ 体感学習 (実演、体感)
 ④ 2009年爆発火災事故の振り返り (語り掛け)
 ⑤ 2009年爆発火災事故から何を学ぶか (グループ討議)
 ⑥ ノンテクニカル教育 (座学、グループ演習)
 ⑦ 安全の誓いを立てる (個人)

 鹿島工場が操業から48年の歴史のなかで経験した事故・災害を年表にし、発生したエリアとともに壁一面に掲示。さらに、事故・災害の報告書と爆発事故の残備品を展示する。製品貯槽タンクに溜まっていたガスによる爆発事故で着火源となったハンドランプからは、災害を直接経験していない者にも災害の悲惨さが伝わる。

過去の災害の記録を失敗博物館に掲示

報告書から詳細を学ぶことができる

 国際競争力センターの樫村知幸センター長は、「工場内には危険な物や場所が存在することを知ってもらう。事故・災害に対して、臆病にならないといけない」という。災害防止のための基本的な知識を身につけさせるとともに、事故の直接原因、間接原因である当時の組織風土を説明し、二度と同じ事故を起こしてはならないと伝えている。

グループ討議で「考えさせる」

 講義は、「信頼の環境安全センター」の古野光浩センター長と専任安全技術者の大中耕二さんを含め、4人のトレーナーが担当する。事故を説明したあと、自分たちの職場で発生した事故をテーマにグループ討議を行い、安全の基本を身につけさせる。

なぜ事故が起こったのかを考えさせる

 ここでの教育のキーワードは、「受講者自らに考えさせる」。過去の教訓を生かし、自職場の問題点や気になる点を話し合う。相手の意見を聞き、自分の意見を出すなかで、安全に対する理解度は上がっていく。聞くだけでなく、考えさせて知識の定着を図る。

平成31年1月15日第2322号 掲載

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