【特集2】バランスボールでつまずきが半減へ オフィス改革進め運動量アップ促す
転倒災害が増加するなかで多くの企業や団体が体力維持・向上に向けたユニークな取組みを展開している。福岡市は、民間企業と協働でバランスボールを活用した転倒予防の実証実験を行い、「つまずいた」割合を半減させることに成功。住友生命は、オフィスにウォーキングコースを設け、歩数が増えるレイアウトを整備した。インセンティブの面では自社のアプリを活用し、意識改革につなげた。JFEシステムズはオフィスの随所に運動量アップの仕掛けをつくるなどして、身体を動かす機運を醸成。歩行測定会やウォーキングイベントの開催で意識付けを図っている。
3カ月で転倒リスク大幅減/福岡市とルネサンス
運動習慣ない40歳以上対象
令和5年の労働災害発生状況によると、休業4日以上の死傷者数は13万5371人となり、3年連続の増加となった。事故の型別では、「転倒」が3万6058人(前年比2.2%増)とトップで、2番目、3番目に多かった腰痛などの「動作の反動・無理な動作」(2万2053人)、「墜落・転落」(2万758人)を圧倒している。
転倒災害防止の取組みでは、床の凹凸の除去などの設備面の改善、職場内の4S活動(整理、整頓、清掃、清潔)や職場に潜んでいる危険を見つけるKY活動が重要とされる一方で、人の側の対策にも取り組んでいくことが不可欠になっている。
とりわけ加齢による平衡機能、筋力などの身体の機能低下は、転倒災害の原因の一つであるため、身体機能の維持・向上を図る運動や体操の実施が転倒予防として効果的とされている。
しかし、運動や体操を従業員に習慣付けることは容易ではない。自主参加の行事の場合、従業員の参加が一部の層に偏るなど、思うように取組みが広がらないことなどが課題に上りやすい。そのため、働きかけ方から制度設計に至るまでさまざまな工夫が必要になる。以下に紹介する3つの事例は、業務時間内に身体機能の維持・向上につながる器具の活用や、環境面における仕掛けづくりが奏功している。…
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