【特集2】下水道管路内作業 酸欠リスクの認識強化を 濃度測定・換気徹底求める 秋田県 3人死亡事故で提言
秋田県男鹿市で下水道管補修工事中に作業員3人が死亡した事故を受け、県の設置した安全対策検討委員会(加藤裕之委員長=東京大学大学院特任准教授)は、事故原因分析と再発防止策の提言をまとめた。複数のリスク事象が重なった前例の少ない事故だったとした一方で、酸素欠乏症のリスクを考慮した対策が取られておらず、労働安全衛生法に基づく措置を講じていれば十分に防げた事故だったとしている。試験作業中も含めた濃度測定と換気などを行い、酸欠則に沿った安全管理が徹底されるよう、発注者の監督体制強化、受発注者の安全管理の意識共有が求められるとした。
マンホール内で意識失い倒れる
事故は今年3月7日午前9時30分ごろに同県発注の下水道管渠補修工事現場で発生したもの。昨年8月に漏水が見つかった下水道内の圧送管の補修工事が完了し、工事に不備がないか確かめるための通水作業が行われていた。
ポンプから圧送管路へ送水して間もなく、排泥ピットに接続する制水弁室(マンホール)内にいた作業員が意識を失って倒れ、その後マンホールに入った作業員2人も意識を失って倒れているのが発見された。駆け付けた救急隊によって救助されたものの、3人とも病院で死亡が確認された。死因はいずれも急性循環不全とみられている(図1)。
通水試験中の濃度測定は行われず
秋田県が設けた安全対策検討委員会は事故原因を分析し、新たに認識すべき危険性と再発防止に関する提言を7月14日に取りまとめた。
有毒ガスの発生については、圧送管路の長期停止により酸素濃度が低下するおそれがあり、硫化水素ガスが滞留しやすい環境だったこと、また、通水試験の際に弁の不具合により、圧送管から制水弁室内へ汚水、硫化水素ガス、低酸素濃度の空気が漏出した可能性があるなど、複数のリスク事象が重なった事故だったとしている。
事故当時の作業では、…
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