【主張】「嫌がらせ」許さぬ姿勢を

2025.07.10 【主張】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 厚生労働省の「令和6年度過労死等の労災補償状況」によると、仕事上のストレスが原因となった精神障害の労災保険給付支給決定件数が増加し、1年間の件数が初めて1000件を超えた。心理的負荷につながった「出来事」では、パワーハラスメントやカスタマーハラスメントなどのハラスメント関連が前年度に比べて大幅に増加している。

 事業主が職場のハラスメントを放置し、結果的に精神障害が労災認定されれば、安全配慮義務違反を問われかねない。そうした事態を回避するためにも、「ハラスメントは許さない」との方針を社内外に打ち出し、相談体制を機能させるなど、雇用管理上の措置を着実に講じたい。

 前述の厚労省集計では、支給決定件数は1052件で、前年度を172件上回った。精神障害の労災請求自体も205件増の3780件となり、支給決定件数とともに過去最多になった。

 精神障害の発症に関与したと考えられる「出来事」別の支給決定件数をみると、全31種類ある区分のうち、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワハラを受けた」が224件で最も多く、全体の2割を占めた。以下、「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」119件、5年9月の認定基準改定により出来事に加わった「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為(カスハラ)を受けた」108件などと続く。

 パワハラは前年度に比べ67件(42.7%)増、カスハラは同56件(107.7%)増と大きく伸びた。カスハラについては初めて、1件の自殺事案を労災認定している。

 ハラスメントに起因する精神障害が存在感を増すなか、企業においては、休職や離職などによって貴重な人材を失うことにならないよう、今一度、雇用管理体制を見直したい。カスハラについては、6月に公布された改正労働施策総合推進法により、雇用管理上の措置が新たに事業主の義務となる。講ずべき措置の内容として、事業主の方針の明確化・周知などが検討されている。今後示される指針をチェックし、対応してほしい。

令和7年7月21日第3505号2面 掲載
  • 広告
  • 広告

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。