【主張】労働生産性の低下を憂慮

2019.12.05 【社説】
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 日本生産性本部のまとめによると、2018年度の日本の労働生産性が7年振りに前年を下回ったという。OECD加盟36カ国中の順位は20位で、イスラエルやスロベニアなどとほぼ同水準となっている。最大の要因は、依然、日本の経済規模が拡大していない点にある。「働き方改革」は実現しつつあるが、いかにも微力である。政府は、今回の労働生産性下落を正面から受け止めて、経済政策を根本的に見直す必要がある。

 日本の時間当たり名目労働生産性は4853円だった。前年まで過去最高を更新し続けていたが、7年ぶりに前年を下回ってしまった。過去最高を更新し続けてきたといっても、依然として先進国標準と比べるとかなりの後れを取っている。大規模金融緩和でようやくデフレスパイラルから脱したにもかかわらず、労働生産性の向上にほとんど寄与していない実態が明らかになった。

 日本生産性本部の分析によると、日本企業が近年の人手不足を懸念して雇用を増やしてきたものの、「経済が見込んだほど拡大しなかった」ことが背景にあるという。人手は確保したが、経済規模の拡大が滞った結果として企業活動を調整したことが労働生産性に反映したとみている。

 働き方改革の柱は、時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金の推進である。生産性向上も一つの目標に掲げられているが、経済全体の活性化、規模拡大の達成が前提とならなければ、結局少ないパイの取り合いに陥る外ない。

 アベノミクスでは、日銀による異次元金融緩和の実行により、長期にわたるデフレスパイラルからようやく脱することができた。しかし、日本経済が過去のようなレベルで世界的地位を取り戻すほどの効果は得られなかった。

 金融緩和とともに実施すべきだった財政出動が微小に終わったことが大きく影響していよう。アベノミクス当初、「機動的な財政出動」を看板の一つに掲げていたにもかかわらず、今となれば不十分だった。このままだと、第4次産業革命に乗り遅れるばかりか、様ざまな面で日本の世界的地位後退が続いていまう。

令和元年12月9日第3236号2面 掲載

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