【主張】今年度も最賃凍結すべき

2021.05.27 【社説】
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 今年度の最低賃金引上げは無謀であり、強く反対したい。政府の経済財政諮問会議では、緊急事態宣言解除後に、「最低賃金を引き上げていくべき」とする見解が表明された。最賃を引き上げて生産性の低い中小企業を統・廃合すべき、あるいは「経済の好循環を継続・拡大させる」などと主張しているが、とても受け入れることはできない。

 政府は、毎年3%程度の最賃引上げを継続し、将来的に時給1000円をめざす方針を維持している。一昨年度まで毎年20円台後半の引上げが続き、全国平均で900円台に乗った。今年度においても緊急事態宣言解除後に同一労働同一賃金の実現とともに、最賃引上げを実行すべきとの意見が表明されている。

 そもそも、最賃を引き上げて中小企業を統・廃合し、生産性を高めるべきとする見方は、主客転倒している。日本経済は、優良な中小企業を多く抱えていることが活力の源泉であり、雇用創出にもつながっている。

 今後も大企業・中小企業ともに共存共栄の道を探っていくことが重要であり、なにも欧米の産業構造に合わせる必要はない。生産性向上の柱は、設備投資拡大による効率化であり、この方向に逆行する最賃引上げの強行は、いずれ日本経済へダメージとなって跳ね返ってくる。

 最賃引上げが、経済の好循環を継続・拡大させるとの見方もこれまでの流れを無視する直感論でしかない。一昨年度まで、3%程度の引上げが続いたが、経済の好循環、つまりデフレ傾向の脱却にはほとんど無意味だった。デフレ傾向から脱却できないのは、政府の需要喚起政策(マクロ経済政策)の失敗・不足・未熟さにあるのであって、最賃との関連性は小さい。

 折しも、日商などの中小企業団体は、コロナ禍の厳しい経済情勢を踏まえ、最賃は現行水準を維持すべきと政府へ要望した(=関連記事:最賃の水準維持を要望 日商など3団体連名で コロナ禍収束見通せず)。コロナ禍の影響を直接被っている飲食・宿泊業、中小・零細製造業、卸・小売業などでは、最賃引上げが追い打ちとなる。多くの中小企業が戸惑いと懸念を抱いている。今年度も最賃は凍結して欲しい。

令和3年6月7日第3307号2面 掲載

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