【主張】地域最賃引上げは困難に

2020.05.28 【社説】
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 日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会の3団体は、今年度の地域別最低賃金の審議において、引上げ凍結を視野に入れるべきであると提言した。経済規模の稀にみる大幅縮小が予想される状況にあって、当然の主張であり、支持せざるを得ない。

 新型コロナウイルス感染症の直撃を受けているのは、まさに最賃引上げの影響を受けやすい地場中小・零細、小売店舗などである。今年は、今後“コロナ倒産”が増加するのは明らかである。追い打ちをかけるような最賃引上げは不可能だろう。現状の水準で凍結が望ましいが、仮にわずかでも引き上げるなら、公的な資金繰り支援をさらに強化するしかない。

 労働者側から考えても、今年度の最賃引上げは決して好ましくない。地場中小が疲弊し、倒産が増加すれば、全体として失業の増加に向かわざるを得ない。雇用が維持される労働者の賃金は上がるとしても、明らかにバランスを欠いている。

 最賃は、全国加重平均1000円をめざし、直近4年連続で3%を超える大幅引上げを進めてきた。昨年度の引上げ額は、昭和53年に目安制度がスタートして以来の最高額27円だった。

 日商などによると、最賃引上げで直接的な影響を受けた企業割合が42%に達し、悲鳴にも近い訴えが寄せられているという。明確な根拠が示されない毎年の大幅最賃引上げに苦慮しているのが実態といえよう。

 経済全体の規模がわずかでも拡大してきた昨年度までは、国による経費支援などを受けながら最賃引上げ分を吸収することができた。非正規労働者層の処遇を徐々にアップさせていこうという社会的合意も形成されていた。

 しかし、今年度は一変してかつてない大規模なリセッションに見舞われている。新型コロナウイルスに立ち向かうために、地場中小の体力をできる限り温存しておく必要がある。最賃凍結以外に選択肢はないといえよう。

 遠くない将来のV字回復に向けて、ここは公労使が一体となるべきである。

令和2年6月1日第3259号2面 掲載

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