【主張】「労働者性」で妥当な判断

2019.07.18 【主張】
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 本紙報道によると、「雇用類似」の働き手に適用する就業ルールを検討している厚生労働省は、「労働者性」の拡張適用方式による保護を当面見送るとした中間的な方針を明らかにした(令和元年7月8日号1面に詳細)。

 本欄では、従来から「労働者性」を拡大解釈する必然性はなく、労働法適用に混乱を招く変更には同意しかねるとの主張をしてきた(平成30年7月2日号本欄参照)。今回の厚労省による判断は妥当と評価したい。

 厚労省内で「雇用類似」の働き手に対する保護政策の検討が始まった当時、本欄は労働者性の範囲を拡大したり、労働者概念を再定義する政策変更は、これまで築き上げられてきた体系に大きな影響を及ぼすもので、仮に実施するにしても相当な時間を掛けて慎重に進めなければならないと反論した。現在でも分かりにくい労働法適用にさらに混乱を生じかねないという懸念もある。

 そもそも「雇用類似」の働き手とは、総合的にみて実態上労働者ではないフリーランスと位置付けることができ、本来は労働行政の対象外である。いくら経済的従属性が強いといっても事実上雇用契約関係にないフリーランスを「労働者」とみるのは拡張し過ぎで、体系全体に影響が生じかねない。

 中間的な方針では「雇用類似」の働き手の新たな定義として「発注者から仕事の委託を受け、主として個人で役務を提供し、その対償として報酬を得る者」としており、本質的には「自営業者」であることは明確である。一部の「自営業者」を取り出して労働法を拡張適用するという考え方には無理があろう。労働法を適用する「自営業者」と適用しない自営業者の境界線確定も簡単ではない。

 従って、保護政策のあり方としては、「労働者性」の拡張ではなく、自営業者のうち従属性が著しい働き手で一定の保護が必要なケースなどに限って、労働法の保護内容とは別のルールを規定する方法を採るべきである。

 当然、強制的効力を付与することはできない。ガイドライン的な位置付けとなろう。

令和元年7月22日第3218号2面 掲載
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