【主張】フリーの保護は最小限に

2018.05.10 【社説】

 厚生労働省は、先ごろフリーランスに対する保護のあり方を提言した検討報告をまとめた。保護対象としているのは、「経済的従属性」を強いられるフリーランスとしているが、厚労省が雇用関係にない働き手に法的保護を提供する必然性はない。

 仮に保護を図るにしても、法的拘束力のないガイドラインに留めるべきであろう。規制強化と受け止められて、フリーランスの活用が縮小してしまったら労使双方ひいては経済全体へのダメージとなってしまう。

 「経済的従属性」とは、契約内容が一方的に決定されたうえ、働く側にとって不本意なものとなったり、契約が一方的に変更されても許容せざるを得ない力関係にある場合とした。

 フリーランスの大半は、明らかに自由な事業者間取引であり、経済法のルールを適用するのが正道である。仕事の発注者とフリーランスの経済的優位性が異なるのは当然で、程度の差はあっても何らかの形で働き手が従属しているのはごく一般的だ。経済的従属性を弱めたいなら、フリーランス自身が仕事の能力や交渉力を高めるしかない。従って、できる限り自由な経済ルールの下で運営されるべきである。

 雇用労働問題の規制官庁である厚労省が、経済的従属性があり契約内容が「不本意」だからといって、安易に保護するのはいき過ぎである。今後、どういった規定なら受け入れられるか、経済界の意見をよく聞いて最終的な結論を出してもらいたい。

 勿論、労働基準監督署の調査により、実態上、使用従属性があり「労働者」と認定されれば、労働基準法をはじめとする手厚い保護がある。言い換えれば、使用従属性を有しているにもかかわらず、労働条件の劣るフリーランスに偽装して働かせるなどの不当な取扱いを厳しく取り締まるべきことに変わりはない。

 報告では、契約内容や契約変更ルールの適正化、苦情相談窓口の設置などが保護対策として示されている。経済へのマイナス面を慎重に考慮したうえ、柔軟なガイドライン程度に留めるべきである。

掲載 : 労働新聞 平成30年5月14日第3160号2面

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