【主張】見切り発車の疑い濃い有期建議

2012.02.06 【社説】
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 厚生労働省の労働政策審議会は、昨年暮れ小宮山厚労大臣に対し、「有期労働契約の在り方」について建議した(本紙1月23日号1面)。有期契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により期間の定めのない労契約に転換させる、「雇止め法理」を制定法化するなどを主な内容とするこの建議を基に今通常国会へ労働契約法の改正案を上程するという。

 平成22年10月26日以降審議を重ねてきたが、9回目を終えた段階の中間報告段階では、労使見解が全面対立の状態で同年末に予定している「合意形成」が難しくなっていた(本紙平成23年8月29日号1面)。

 対立内容は、有期契約の締結に当たって、「一定の目的や理由」がある場合に限定する規制(入口規制)の導入では、労働者委員が「合理的理由がなければ期間の定めのない直接雇用を基本とすべき」と積極的に支持しているのに対し使用者委員は「かえって良好な雇用機会を失わせる。締結事由に該当するか否かをめぐる紛争も生じる」と主張し、譲歩しない構えだった。更新回数や利用可能期間を制限する規制(出口規制)の新設についても「更新回数などの上限を超えた場合には期間の定めのない契約へ転化すべき」(労働者委員)と、「当初の想定を超えて働いてもらいたいケースに対応できないほか、上限手前での雇止めが増加することが避けられず、雇用の縮小、継続的な能力開発の機会もなくなる」(使用者委員)というように報道どおり全面対立が続いていた。

 その後8回の審議を経て、5年という期間設定などにより建議に至ったというわけだ。7面で担当記者は高評価しているが、ひねくれ者の小欄は違う。使用者委員の譲歩で、23年末合意となった「見切り発車」の疑いが濃い。わが国の産業構造などからみて、有期と無期の両立なくしては、立ちいかない。「オール正社員化指向で果たして雇用の安定化は図れるのか」(安西愈弁護士)という疑問にも今回の建議が答えを出したとはいえまい。有期労働契約無用と考えているかと民意を問えば、答えは微妙だろう。

平成24年2月6日第2859号2面 掲載

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