【主張】全企業でパワハラ対策を

2017.07.17 【社説】
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 上司などからの「いじめ・嫌がらせ」(主にパワーハラスメント)を訴える労働者が急増している。自殺などとの因果関係が認められて高額の損害賠償事件に発展するケースもあり、警鐘を鳴らしたい。どの企業も他人事ではなくなってきており、防止と早期解決に向けた対応の必要性が生じている。

 厚生労働省がまとめた最新の個別労働紛争事件の処理状況をみると、「いじめ・嫌がらせ」はここ10年程度にわたり一貫して右肩上がりの増加を続けている。平成24年度からは、相談内容別で最多となり、28年度には約7万1000件に達した。常にトップだった「解雇」の約3万7000件と比較してもその多さが分かる。

 一例を挙げると、上司から「ボケ・アホ」「のろま」「使い物にならん」などの暴言を日常的に繰り返された事案では、放置した会社の責任が問われかねない事態に発展、都道府県労働局の助言などに基づいて労働者の他部署への異動で解決となった。

 厚労省の定義では、職務上の地位や優位性を背景に、業務の適正範囲を越えて精神的、身体的苦痛を与える行為としているが、問題なのは「業務の適正範囲」の解釈である。身体的・精神的攻撃に加え、仲間外し・無視、過大な業務上の要求、私的なことへの過度な干渉なども対象となっている。いずれにおいても「業務の適正範囲」との境界線は、個別事案で異なり、必ずしも明白ではない。

 セクシュアルハラスメントと同様に、受け止め側の心理の違いによる紛争リスクは、どの企業も日常的に存在するといえるが、予防・解決に向けた取組みを実施している企業は5割程度と広がりは今一歩である。企業規模が小さくなると実施率はさらに低くなっていく。

 裁判例もめだってきている。加害者とともに企業の使用者責任などが問われ、慰謝料、治療費、休業損害などの賠償責任が発生しかねない。まして、被害者が自殺した場合、高額な賠償額となる可能性がある。すべての企業が防止対策に着手すべき時期に来ている。

平成29年7月17日第3121号2面 掲載

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