【主張】5年以内雇止めは慎重に

2022.04.21 【主張】
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 厚生労働省は、労働契約法第18条に規定する無期転換ルールの適用前雇止めにかかわる紛争増に対処するため、使用者に労働契約更新上限の明示を義務化する見通しである(関連記事=無期雇用転換権利 使用者に明示義務化 雇止めの抑制策も 厚労省改正案)。雇用期間の決定は、基本的に労使の話合いと合意によるという原則に沿いながら、無期転換ルールを機能させようとするギリギリの改正といえる。企業は、雇止めを前提とするなら、いつの間にか労働者に労働契約の更新期待が発生することのないよう十分注意を払う必要がある。

 無期転換ルールの制度化で、不安定な有期契約雇用が一定程度抑制される一方で、雇用契約5年以内の雇止めにかかわる労使紛争の増加が懸念されていた。実際にも、近年において都道府県労働局などへの相談や裁判例が増え出している。

 しかし、対応策として考えられる選択肢は限られていよう。そもそも、雇用期間の長さをどのぐらいにするかは、労使間の話合いと合意により決定するのが原則である。この原則に沿いながら紛争を抑制するには、更新上限の明確化以上の対策は打てない。

 参考となる典型的裁判例がある。日本通運事件(横浜地川崎支判令3・3・30)である。契約更新期間などを明示した雇用契約締結において自由意思を阻害する状況にはなかったとし、無期転換ルール適用前の雇止めが承認された。

 同裁判例から、雇用の更新上限を5年とすること自体は労使間の合意に基づく限り、否定されるべきことではないことは明らか。重要なのは、労働者に対して更新上限を有する労働契約であることを、丁寧に説明し、納得を得ていたかである。

 労働契約締結に当たって労働者の自由意思を阻害する状況が認められたり、更新上限を超えて雇用継続したケースがあって労働者に雇用継続期待を生じさせるなどの事情がない限り、5年を上限とすることも有効という外ない。

 もちろん、あからさまに無期転換ルール適用の阻止を狙った不自然な雇止めは無効である。企業としては、事前に有期雇用の考え方を明確化し、理解を促す努力をしておくべきである。

令和4年4月25日第3350号2面 掲載

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