【主張】正規労働者の処遇維持を

2018.08.09 【社説】
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 先の通常国会で成立した働き方改革推進法では、不合理な処遇格差を解消するための法改正が含まれている。この処遇格差解消法の施行に向け最も懸念されているのが、同法に従って有期雇用労働者の処遇を引き上げる代わりに正規雇用労働者の処遇を引き下げる企業が生じる可能性があることだ。

 仮に正規雇用労働者の処遇が犠牲になるようなことがあれば、決して好ましくないのは明らかであり、拡大させてはならない。内需拡大による好循環を達成し、日本経済を活性化させるという働き方改革の本来の趣旨にも反する。企業は、同法施行までに制度を整えるとともに、必要な処遇引上げ原資を前もって確保しておくべきである。

 パートタイム労働法、労働契約法などの改正によって、正規雇用労働者と職務内容や配置の変更範囲が同一である有期雇用労働者の均等処遇の確保を義務化した。処遇格差がある場合、企業は労働者にその理由などに関する説明をしなければならない。説明がつかない不合理な格差があれば、同一の処遇に引き上げる必要がある。

 たとえば、危険度に応じた特殊作業手当、通勤手当、地域手当などでは、有期雇用労働者に支給しない理由を見出せない可能性がある。このため、正規雇用労働者と同額の手当支給が法令上必要となり、原資を用意しなければならない。どうしても原資が用意でない企業の中には、正規雇用労働者の手当を引き下げざるを得ないケースが出てくるかもしれない。

 厚生労働省の公式見解では、同法に対応するためであっても、労使の合意がないまま正規雇用労働者の処遇を引き下げるのは「望ましくない」と述べており、この考え方を指針に盛り込むとしている。逆に捉えれば、労使の合意が整えば正規雇用労働者の処遇引下げもやむなしと読める。法令に従って有期雇用労働者の処遇を引き上げるために、正規雇用労働者に妥協を求める話合いが成立する可能性がある。

 しかし、職場の活性化や経済の好循環などを考慮すれば、到底受け入れ難い。

平成30年8月20日第3173号2面 掲載

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