【主張】監督官増員を優先事項に

2018.07.26 【社説】
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 本紙報道によると、参議院厚生労働委員会は、働き方改革推進法案の採決に伴う「附帯決議」で、労働基準監督官の増員を「政府の優先事項」と強調している(本紙7月16日号1面既報)。ブラック企業や過労死が大きな社会問題となって久しく、出遅れ感はあるが、これを機に文字どおり優先事項として監督官増員に本気で着手してもらいたい。

 労働基準監督署は、現在、全国に321カ所ある。近い将来において、少なくとも県庁所在地の労基署に増員可能な数である50人以上は確保すべきである。併せて、東京都心部にも別枠で相当数の増員が必要だ。この程度の増員を数年間継続すれば、監督数や送検数が拡大していき、働き方改革は自ずと進展するだろう。ブラック企業も排除され、公正競争が強まる。

 参議院厚労委の附帯決議は、全体として働き方改革推進への強い思いが感じられるもので、好感が持てる。国会審議の中で指摘された高度プロフェッショナル制度に対する懸念事項にも正面から答えている。その中で、本紙が以前から強く主張してきた監督官増員を政府の優先事項と謳った点に注目したい。

 監督官の現在数は全国で3000人程度で、20年ほど前と比較しても2割程度しか増えていない。労基署全体の職員数が減少していることを考えれば、増員といえるかどうかも心許ない。わが国は、この間に「過労死大国」となってしまった。社会の財産である若者を食い潰すブラック企業がはびこった。

 少子化対応などと同様に、「緊縮財政」ばかりを強調して必要なところに予算を投入してこなかったツケが回っている。今回、安倍政権が思い切って実施した働き方改革によって、改めて監督官増員が不可欠であるという思いが共有された。遅きに失するとはいえ歓迎すべきだろう。

 折しも一部監督業務を社会保険労務士団体に委託する事業が全国15県でスタートするという。36協定未届など初歩的な労基法違反是正に向けた指導業務には予算を惜しまず積極的に事業委託し、官民を総動員して働き方改革を支えていくべきである。

平成30年8月6日第3171号2面 掲載

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