【主張】医師の働き方改革可能か

2018.12.06 【社説】
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 長時間労働がめだつ病院勤務医の労働時間短縮がジレンマに陥っている。改正労働基準法では、時間外労働について特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間を限度としたが、医師は適用を5年間先送りし、上限時間数も別途設定できるようにした。医師法第19条第1項に基づく「応召義務」の特殊性を踏まえた猶予措置である。

 厚労省内では、「応召義務」と労働時間短縮をどのようにバランスしていくかが中心テーマとなっている。しかし、そもそも日本の医師数はOECD諸国の中でも最低レベルにあり、現状の医療提供態勢を維持しながら労働時間短縮を図るには相当な力業が必要となる。設定する上限時間数にもよるが、宿日直許可基準の「現代化」などで事足りるとは思えない。これを機に診察に長い待ち時間を強いられる国民にも配慮した総合的対策を打ち出してもらいたい。

 医師の長時間労働は、自動車運転者と比較しても厳しい実態にある。職種別に正規職員の1週間の労働時間実績をみると、60時間を超える割合が最も高いのが医師で42%に達している。雇用者全体では14%、自動車運転者でも40%だった。医療提供という特殊な勤務環境の内側で、長時間労働を強いられていることが分かる。

 労働時間短縮のために、「何が業務で、何が業務でないか」の切り分けを着実に整理するとの考え方から、宿日直許可基準の「現代化」と、研修医などが行う「自己研鑽」の労働時間性判断を明確にする方向のようだ。

 「応召義務」を踏まえた検討としているが、本来的な労働時間短縮対策といえるか疑問が残る。現状の担当業務を切り分け、線引きしたところで医師の負担が変わるわけではない。病院側の管理下にない「自己研鑽」を切り出し、労働時間から除外しても同じである。結果的に、我われ患者の待ち時間短縮に結び付くとも思えない。

 中長期的視点に立って本来的な労働時間短縮が容易となる医療環境の形成を図っていかなければ、医師の過労死を防ぐこともできないだろう。

平成30年12月10日第3188号2面 掲載

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