【主張】大仕事になる金銭救済制

2018.07.05 【社説】

 解雇無効時の金銭救済制度が数年先に整備される可能性が高まってきた。厚生労働省では、労働契約法などに金銭救済請求権を明記し、解雇の合理性判断と救済金支払い命令を一回的裁判によって行う仕組みを想定している(本紙6月25日号1面既報)。

 本当の働き方改革は、この金銭救済制度の確立という大仕事によって完結する。労働者の利便性を最大限重視した制度設計を前提に、迅速な法改正を強く望みたい。

 金銭救済制度は、平成14年の労働政策審議会建議にその原型が記載されている。裁判所が解雇を無効と判断したときに労使当事者の申立てに基づき、労働契約終了と併せて使用者が労働者に金銭支払いを命じることができる仕組みを提起した。しかし当時は、法案の国会提出までに至らなかった。

 16年間の長い歳月を経て、現在、ようやく日の目をみようとしている。どのような法的枠組みで制度設計するか、金銭救済水準や考慮要素をどうするかなど、様ざまな困難な課題が横たわっているが、どう考えても時間を掛け過ぎである。その間に、救われるべき労働者が少なからずいたはずだ。不要な社会的コストを膨大に費やしてきた。

 とくに、中小零細企業に勤めるパートや契約社員など弱い立場にある労働者において解雇が容易に行われるなど、事実上無法状態にある。解雇された場合、どの程度の金銭支払いを必要とするかが周知され、予見可能性が高まっていれば多少でも労働者の救済につながっていたはずだ。

 厚労省では、今後、法的・具体的制度設計と金銭救済水準の検討を開始するというが、そうなると法改正までさらに数年を要する。制度の原型が示されてからほぼ20年間という途方もない時間が経過する見通しだ。

 労働契約法に金銭救済請求権を明記して一回的裁判で決着をつけるという仕組みは、労働者の利便性を重視した仕組みとして評価できるが、今後は検討会と審議会をフル回転させて迅速な法改正をめざすべきだ。できれば、来年の通常国会への法案提出を要望したい。

掲載 : 労働新聞 平成30年7月9日第3168号2面

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