【主張】雇用慣行の本格見直しを

2021.09.02 【社説】
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 政府は、「プライム市場時代の新しい企業組織の創出に向けて」と題する提言をまとめた(本号1面に詳細=内閣官房研究会 解雇無効時金銭解決の創設を 工場労働管理脱却へ)。プライム市場が来年度からスタートするのを機に「労働三法」の基本原則である労働時間管理に代わる新しい労務管理としてどのような手法があり得るか、研究に着手する必要があると訴えた。日本の世界における経済社会的地位の下落が止まらない現在、日本型雇用慣行を見直して生産性向上を図ることが急務である。どのような雇用社会をめざすべきか、専門的検討を求めたい。

 日本型雇用慣行は、これまで日本社会の成長、発展に大きな貢献を果たしてきたが、現状においては足枷となっている面が多いのも否定できない。とくに、同報告書が指摘するように、「労働三法」の中でも労働基準法のコンセプトが、基本として「工場労働法」の域を出ていない点が見逃せない。法制定後七十余年以上が経過しているにもかかわらずである。

 働き方改革法により、高度プロフェッショナル制度(高プロ)が新設されたのがほとんど唯一の前進だった。すべての労働時間規制を適用除外し、成果で処遇する制度である。しかし、実際には使い勝手が悪く、今年3月末時点での制度導入事業場は20社程度とほとんど広まっていないのが実態。

 同報告書では、個人の望む働き方の実現、年功賃金制度主流から職務給制主流へのリバランス、現役時代への適切な報酬支払い――などを提案しているが、今やこのような個別制度の見直しでは追い付かなくなっている。日本型雇用慣行全体を俯瞰して、非効率・不合理な部分を洗い出し、それぞれ現状維持か、見直しかを本格的に検討していくべき時期が来ている。

 少なくとも、厚生労働省内で長年にわたり検討が続けられている解雇無効時の金銭救済制度の専門的議論を早期に終結させて制度創設を図ることが重要である。日本型雇用慣行の根幹に触れる見直しにつながる可能性がある。

 日本の生産性の低さなどをこのままにしていては、国民全体が相対的貧困に陥っていくのは目に見えている。

令和3年9月6日第3319号2面 掲載

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