【主張】丸子警報器事件の意味するもの

2012.05.07 【社説】
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 厚生労働省の労働政策審議会では、パート労働法および労働契約法の改正案を検討しているが、いずれも正社員と有期労働者の均衡処遇がキーポイントになっている。丸子警報器事件=長野地裁上田支部判決(平8・3・15)が、その過程で話題を集めるものと思われるので振り返ってみよう。この事案は、契約期間2カ月で契約更新を重ねてきた女性臨時社員28人が女性正社員と同一労働であるにもかかわらず、賃金格差があるのは不当などの理由で訴えたもの。判示事項のうち問題になったのは次の点である。

 「女性臨時社員の賃金が、女性正社員の8割以下の場合は公序良俗に反し違法」としたのがそれだ。ライン作業に従事する臨時社員と、同じライン作業に従事する女性正社員の業務と比べると、従事する職種、作業の内容、勤務時間および日数ならびにQCサークル活動への関与などがすべて同様である。臨時社員の勤務年数も長い者で25年を超えており、長年働き続けるつもりで勤務しているという点でも女性正社員と何ら変わりがない、などを判示事由としている。しかし、なぜ「8割」が合理的なのかの説明はない。会社が控訴し、東京高裁の裁判官が示した和解条件も、社会通念上相当性があるとは、とても言えない内容。

 ①日給制から月給制にする②98年12月から04年まで毎年3000円の特別増額是正を実施③一時金の支給月数は正社員と同じ④和解成立後の退職金の計算方法は正社員と同一。それ以前の分は従前の2.5倍⑤1600万円の解決金を支払う――というもの。この条件を会社が呑んだ結果、04年には正社員との賃金格差が89~98%まで縮小した。なぜ、合理的理由を欠き、社会通念上相当性のない判決・和解を会社は受け入れたのだろうか。

 日本共産党系の全労連・新日本婦人の会が組織をあげて支援したからだ。この圧力に会社は抗しきれなかった。使用者側にとっては何とも後味の悪い結末である。均等処遇や均衡処遇は当然の権利という主張は理解できるものの、よそに飛び火するような解決方法には疑問を感じる。

平成24年5月7日第2871号2面 掲載

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