【主張】最賃以下1割強の可能性

2018.09.06 【社説】
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 厚生労働省は、地域別最低賃金の引上げ額が全国加重平均で26円となり、時給のみで表示するようになって以降最大の引上げ幅になったと発表した。この結果、平均額は874円となっている。

 働き方改革実行計画によると、地域最賃は年率3%程度を目途とし、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていき、全国平均1000円をめざすとしている。

 わが国の地域最賃は、世界的にも低水準にあり、当面1000円程度に引き上げる必要性は否定できないが、最も大きなダメージを受けるのは弱小の中小零細事業者であることを忘れてはならない。平均26円引き上げると、労働者全体の1割程度が最賃以下になる可能性がある。監督態勢を十分整え、辛抱強い指導により事業者の理解を得る努力を惜しまないで欲しい。

 平成28年度の賃金統計によれば、東京都の当時の地域最賃932円に張り付いていた労働者が約5万人に上っている。同様に、神奈川県で約6万人(地域最賃930円)、大阪府で約4万5000人(同883円)、京都府で約1万2000人(同831円)などとなっている。地域最賃を改定した後に、その金額を下回った労働者割合は、28年度で11%、29年度で12%だった。

 30年度においても同様と考えれば、改定後に地域最賃以下となる労働者数は1割程度と見込まれる。労働者数としてはかなりの絶対数となり、賃金引上げに要するエネルギーは膨大だ。

 厚労省が実施している最賃監督における違反率も高まっている。10年ほど前までの違反率は、おおよそ一ケタ台だったが、地域最賃の引上げ額が高まるとともに上昇し、近年では10%を超えている。違反企業の多くは、最賃を自覚していながら引上げを怠っていた。

 危惧されるのはパート労働者などの雇用が引き続き維持されるかである。国は最賃引上げに伴い全体として雇用者数が減らないようきめ細かい支援を実施すべきである。「1000円が目標」などと安易に考えてはならない。中小零細事業者のコスト負担は決して小さくない。

平成30年9月10日第3176号2面 掲載

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