【主張】フリーランスと労災補償

2023.11.30 【主張】
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 厚生労働省は、事業者から委託を受けて業務に従事するフリーランスについて、業種を限定せず包括的に労災保険の特別加入制度の対象に加える方針だ。

 11月20日開催の労働政策審議会労災保険部会に制度案を提示し、大筋で了承を得ている。保険料率は0.3%で、フリーランス本人が全額負担する。来年秋までのスタートをめざす。フリーランスにとっては民間保険や共済以外の選択肢が追加される一方、保険料負担に対してどんなときにどの程度の給付を受けられるのかが周知されなければ、活用されない恐れもある。

 特別加入制度は、業務の実情や災害発生状況などからみて、とくに労働者に準じて保護することが適当な者に対して任意加入を認める制度。近年、ITフリーランスや自転車配達員などへと対象を拡大している。

 今回の拡大案は、フリーランス新法に規定する「特定受託事業者」が事業者から業務委託を受けて行う業務全体(特定受託業務)を、特別加入の対象業務に追加するもの。特定受託事業者は従業員を使用していない個人などを指し、業種や職種は限定しない。デザイン・コンテンツ制作や調査・研究・コンサルティング、記事執筆業務のほか、データ・文書入力や営業など、幅広い業務が想定される。

 特定受託業務で特別加入するフリーランスは、本人が申請した「給付基礎日額」の365日分に保険料率(0.3%)を乗じた額を、年間保険料として負担する。

 (一社)プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会が6~7月に実施した労災保険加入意向調査によると、「加入したい」と考えている者は7割近いが、「全額自己負担でもぜひ加入したい」とするのは1割に満たない。加入したくないと思う理由では、「保険料の支払いが負担」「保険金がどのくらいおりるか分からない」「自分の働き方で労災認定されるか分からない」などがめだつ。

 加入を促進するのなら、労災認定の基準や認定される具体的なケースのほか、支払う保険料額と給付額などの丁寧な周知が欠かせまい。

令和5年12月4日第3427号2面 掲載

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