【主張】充実した労働法審議望む

2019.02.14 【主張】
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 平成31年の通常国会がスタートした。労働法関係では、主に障害者雇用促進法改正案とパワーハラスメント防止対策の措置義務化(労働施策総合推進法改正案)が審議される見通しである。

 いずれも経営現場に大きな影響がある法案であり、国民の前でしっかり審議する必要がある。もし通常国会が、新たに浮上しているデータ不正問題に終始するようなら再び空疎になりかねない。「モリカケ」疑惑の時のような国会は避けてもらいたい。

 通常国会では、近年社会問題化しているパワハラ防止対策が審議される予定である。まだ法案は作成されていないが、事業主にパワハラ防止に向けた雇用管理上の措置を義務付けるものとみられる。業務上の指導とパワハラとの区別をどうするかなど微妙な課題もあり、時間を掛けて国民の前で分かりやすい国会審議を行ってもらいたい。障害者雇用促進法改正案は、障害者の短時間就業への援助を充実させる内容とみられる。

 折しも、厚生労働省の毎月勤労統計調査や賃金構造基本調査において再びデータ不正問題が表面化し、野党は鬼の首を取ったかのような厳しい追及を始めている。次年度予算を組み替えなければならないなど、確かに大きな悪影響があるが、そもそも15年以上前から行われていた不正であり、歴代内閣の連帯責任というほかはない。

 不正発覚時点の政府が何らかの責任を取らざるを得ないのは致し方ないが、長期間見逃されていた責任も大きい。一方的に非難するのではなく、与野党が共同して実態を把握し、改善策を提起するのが筋である。統計調査部門への予算、人員を厚くするとともに、不利のないキャリアコース設定が求められよう。

 統計調査結果は、政策決定にかかわる重要な指標である。後になって修正されることがあってはならない。しかし、社会・経済がターニングポイントに差し掛かっている今通常国会において、「モリカケ」騒動の再来は許されない。データ不正を追及して政治家や厚労省幹部の首を取るパフォーマンスは、国会審議とは別に行って欲しい。

平成31年2月18日第3197号2面 掲載

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