【主張】“自発的な副業”を前提に

2023.12.21 【主張】
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 厚生労働省は、個人事業者等の健康管理を図るため、今年度中にもガイドラインを作成する(=関連記事)。10月にまとめた「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」の報告を踏まえ、個人事業者と注文者等(プラットフォーマー含む)の双方が、自主的に取り組むべき事項を示す。過重労働やメンタルヘルス対策まで含まれる点で、一般企業にも見逃せない。

 労働政策審議会の分科会ではガイドラインの検討に当たり、健康管理については個人事業者が自ら行うのが基本としつつも、状況により注文者等にも取組みを求める方向性が示された。注文条件や作業環境次第で心身の健康に影響を及ぼす可能性があるため、その影響度に応じて必要な措置を講じるよう求める。

 たとえば長時間就業による健康障害の防止に関しては、取組み事項として①期日設定の配慮、②就業時間が特定される場合、本人の求めに応じて医師による面接指導の機会を提供する――などを盛り込む。後者の就業時間が特定される場合には、1日に配送すべき荷物量を定めるなどの「日々の業務量を具体的に管理・指定するケース」や、自社に常駐させ従業員との共同プロジェクトに従事させるなどの「個人事業者が業務時間をコントロールできないケース」を想定する。検討会の報告書が求めた内容について、改めてガイドライン化する方向性を明らかにしている。

 メンタルヘルス不調の予防についても、①安全衛生を損なうような就業環境、就業条件を付さない配慮、②労働施策総合推進法とフリーランス・事業者間取引適正化等法に基づくパワーハラスメント等の防止を求めるとする。

 一括りに個人事業者といっても、当人たちの働き方はさまざまだ。自社の従業員に副業を認める場合も、間接的な当事者にならないとは限らない。現在は多数の企業が二重雇用を禁じて長時間“労働”のリスクを回避しているが、安全配慮義務が問われるような場面ではどう判断されるのか。注文者等に一定の措置を期待するにしても、本業企業が自発的な副業を認められる前提は確保してもらいたい。

令和5年12月25日第3430号2面 掲載

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