【主張】労基違反で「身柄拘束」も

2018.09.13 【社説】
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 本紙報道によると、岐阜労働基準監督署が、会社代表者を最低賃金法違反などの容疑で逮捕し、身柄送検したという(9月3日号5面)。働き方改革が進むなか、全体として労働環境は改善しつつあるものの、一方で法令違反を繰り返す悪質な企業経営者が後を絶たないのも現状である。

 今回の送検事件では、被疑者が不出頭を続け、調査指導に応じなかったためやむを得ず逮捕した。司法警察官である労働基準監督官の是正指導を軽視・無視すると、最後には身柄拘束もあり得るという前提で、是正勧告には誠実に対処してもらいたい。

 全国の労基署による送検事件は毎年1000件前後に上るが、ほとんど書類送検に留まっている。監督官は、申告や定期監督などで法違反を確認した場合、是正勧告の後に再監督を行い、是正されていれば、それ以上刑事責任を追及することはない。是正指導の目的は、企業に最低労働基準を守らせることであり、刑罰を科すことではない。

 しかし、是正勧告を無視して改善を怠ると、「悪質・重大」な違反として書類送検に至り、裁判所から呼び出しが掛かることになる。本紙によると、岐阜労基署は、会社代表者が不出頭を繰り返したうえ、捜査妨害したことから、証拠隠滅、逃亡の恐れありと判断し逮捕、身柄拘束まで進んだという。要するに、監督官の権限を理解せず、是正勧告に応じる姿勢をまったくみせなかった。

 監督官は、労働基準関係法令に限定されているものの、警察庁や都道府県警察の警察官(一般司法警察職員)と同様な捜査権限を与えられている。労基法第102条によると、監督官は法違反の罪について刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行うと規定している。自ら事件を捜査・逮捕し、証拠物などを差押える権限がある。そして、事件を検察官に送致して刑罰確定を求めることができる。

 多くの企業経営者は、監督官が強大な捜査権限を有していることを理解していないとみられる。労使の相互信頼で成り立つ職場において「身柄拘束」とは違和感があるが、致し方ない。

平成30年9月17日第3177号2面 掲載

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