【ひのみやぐら】安全帯も世界基準へ

2016.12.08 【ひのみやぐら】
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 経営のグローバル化が進むなか「世界基準」への動きが止まらない。ISO45001の動向を見ても分かるとおり、安全衛生分野も例外ではないのだが、作業者にとって身近な保護具である安全帯についても、世界基準の波に乗ることになりそうだ。厚生労働省では、このほど「墜落防止用の個人用保護具に関する規制のあり方に関する検討会」を設置した。国際的な動向、災害事例を踏まえ、安全帯は今後どうあるべきか議論を重ねる。

 日本の胴ベルト型安全帯は、墜落時の衝撃を緩和するショックアブソーバ付きの巻取り式を開発するなど独特の進化を遂げ、墜落災害防止に一定の成果を上げてきた。本来の保護具としての機能のほかに現場入場の際の、身だしなみ、躾の面から着用が励行され、安全意識を上げるためのスイッチとしての役割も担っている。
安全文化としても日本に根付いている胴ベルト型安全帯だが、欧米では使用禁止である。安全の世界基準化が進むなかでは、いつまでも固執することが許される状況ではなくなってきた。

 また、検討会では胴ベルト型安全帯の安全性を問題視している。墜落時の衝撃で起きる内臓損傷、救出されるまでの間、宙づり状態になると身体が圧迫される危険性を指摘した。安全体感訓練で定番メニューの「安全帯ぶら下がり体感」に参加したことのある人なら分かるだろう。胴ベルト型安全帯を着用して、ゆっくりと空を飛ぶような姿勢でつられるものだが、とにかく腹部が苦しくなり、呼吸ができなくなる。40秒耐えられればいいほうで、肥満傾向の人はさらに負荷がかかることになる。この体勢で救助を待つことはかなり厳しいといってよい。

 このように平成18年~同27年までの10年間で、胴ベルト型安全帯の圧迫などで死亡となった災害が6件起きていると検討会では報告している。
検討会では今後、適切な安全帯の種類を限定する、安衛則で定める使用方法の規定を見直す――との方向で作業を進めていくという。かなり踏み込んだ議論になることは、間違いなさそうだ。安全帯をめぐる今後の動向に目が離せない。

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平成28年12月15日第2272号 掲載

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