【ひのみやぐら】荷役作業では保護帽を

2017.11.09 【社説】

 以前、ある事業場で行った危険体感訓練を取材した。教育メニューには、墜落の衝撃を体感するものがあり、2年経った今でもはっきりとした記憶が残っている。講師は「人の頭はカボチャと同じくらいの硬さ」と言い、事務所2階から落とした。3~4mの高さから落とされたカボチャは、アスファルトの地面に落下したが、強く叩きつけたわけでもないのに勢いよく飛び散り、無残にもこなごなになった。カボチャとはいえ墜落の衝撃を知るには十分で、災害の怖さを分かりやすく理解できた。

 特集Ⅰでは、トラックの荷台からの墜落防止をテーマとしている。トラックの荷台は約60cm~1m強。いわゆる〝低所〟だが、この位置で墜落し、頭を打ち重篤な災害となるケースが後を絶たない。「1mは一命取る」と安全教育で聞いたことのある人も少なくないだろう。身長170cmの男性が高さ1mから墜落すれば、頭の場所は2m70cm。そう考えると、前述した危険体感訓練でカボチャを落とした高さとほとんど変わらない。低く感じるからこそ、油断や対策の未実施に陥り災害となる。

 こうした状況から厚生労働省や労働安全衛生総合研究所では、保護帽の着用を呼び掛けているところだ。厚労省の「荷役作業を安全に 荷役作業時における墜落防止のための安全設備マニュアル」によると、保護帽の効果について示されており、「例えば50cmの高さから鉄板の上に転倒したときの衝撃荷重を計測すると、保護帽なしでは17kN(キロニュートン)にもなります。この衝撃は脳しんとうを超えて頭蓋骨骨折を引き起こすほどの値です。(中略)衝撃ライナーの入った墜落時用保護帽の場合は、衝撃荷重は5kNを下回ります」と解説している。衝撃荷重が全くなくなるというわけではないが、頭部にかかる負担は、相当軽減されることになる。

 荷役作業時には、安全な作業床や昇降設備を設ける、作業床の設置が困難な場合は安全ネットや安全帯を使用する、できるだけ高所作業を回避する、などの対策を進めていく必要があるが、同時に墜落時用保護帽を忘れずに着用したい。

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掲載 : 安全スタッフ 平成29年11月15日第2294号

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