【ひのみやぐら】セウォル号船長の行動

2014.05.15 【社説】

 日を追うごとにテレビで「ずさんな安全管理」のテロップが目立つようになった韓国船セウォル号の海難事故。修学旅行中の高等学校生徒325人と引率教員14人のほか、一般客108人、乗務員29人の計476人が乗船していた。安全な航行が絶対条件のはずだが、その安全のトップの船長の行動には、開いた口がふさがらなかった。

 報道によると、「船が急旋回した時に操縦室を離れていただけでなく、事故後には多くの乗客を残して脱出」「救助船の搭乗者名簿に『一般人』と記入し、身分を偽った」「治療を受けた病院では、海水でぬれた紙幣をオンドル(床暖房)で乾かす姿を目撃された」という。

 乗客を見捨てて脱出した言い訳もひどすぎる。「船が突然傾いて倒れてしまい、尻を痛めた。救助船が来て、『早く出ろ』というのでじっとしていられず船から出た」「救助隊員から”船に乗れ”と言われたから言う通りにしただけ」などと供述しているようだ。大韓民国船員法では、「船長は緊急時に際しては人命救助に必要な措置を尽くし、旅客が全員降りるまで船を離れてはならない」旨を規定しており、船長の取った行動は明らかに法違反だ。緊急避難時に、こんなトップがいては、助かる命も助からない。

 東日本大震災を経験し、避難訓練を行う会社がぐっと増えたと聞く。社員を避難させる誘導者は、的確にしかもスムーズに移動させているだろうか。船長のように、責任者不在はないだろうが、避難経路の判断に迷ったり、連絡調整がしっかり取れているだろうか。

 一瞬の判断ミスが災害につながるのを、誰もが経験で知っている。にもかかわらず、セウォル号は、ずさん過ぎた。少しでも安全への考えがあれば、被害はもっと抑えられただろう。

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掲載 : 安全スタッフ 平成26年5月15日第2210号

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