【ひのみやぐら】危険を感じる感性を養う

2022.02.25 【ひのみやぐら】
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 職場に潜在する危険の芽を摘み取るための取組みとして、リスクアセスメントや安全パトロール、作業前点検などがある。さまざまな対策を事前に講じ、危険要因を排除することは安全な職場づくりに欠かせないが、施策を実施する作業員や管理者に危険の芽を発見する能力がないと、どんなに優れた仕組みをつくったところで意味をなさない。危険を危険と感じない、危険が見えないといったような感性が乏しい人がどんなに現場を点検しても危険はゼロであり続ける。

 皮肉なことに安全管理を徹底すればするほど、危険の芽は見つけにくくなる。排除されずに残った危険は、いずれ災害に化けて表面化する。危険の芽を素早く見つけ、早期に摘み取るのが労働災害防止のセオリーだが、危険に対する感性を高めておかないと、職場に隠れた潜在要因を抉りとるのは困難な作業になる。

 危険に対する感性は、生まれながらに高い人もいるが、低い人でも日常の教育、訓練によって高めることができる。代表的な能力向上方法はKYTだろう。KYシートの災害事例から潜在危険を洗い出し、ポイントを絞って対策を立てる手法は、わが国ではお馴染みの取組みだ。

 作業の要所で安全確認を行う指差し呼称も効果があるといえよう。安全確認を目で見て声を発し耳で聞く方法は、人間の五感に訴え感性を鍛える。

 事例研究も期待できる。労働災害は思ってもみなかった原因で起こるもの。事故が起きたことによって、誰もが気が付かなかった危険を教えてくれる貴重なデータが災害事例だ。危険を発見するスキルが身に付く生きた教材といえよう。

 今号特集Ⅰで紹介する日産自動車栃木工場の検出力向上塾は、パトロールを行う人の「危険を見る目」を培う目的で設けられたもの。訓練を通じて、不安全状態に気付く力を身に付け、職場に潜在する危険の芽を摘み取る。リスクアセスメントが上手くいかずに悩んでいる事業所は、同社の取組みを参考にして、人づくりから始めてはどうだろうか。

 危険に対する感性の向上は、日ごろの鍛錬が大切といえる。

2022年3月1日第2397号 掲載

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