【ひのみやぐら】危険源のリストアップがカギ

2019.12.26 【ひのみやぐら】
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 リスクアセスメントが努力義務となったのが、平成18年。早くも14年余の月日が経ってしまった。この間に、リスクアセスメントがうまく回っている事業場、足踏みが見られる事業場など取組みに格差が生じていると聞く。リスクアセスメントのステップは「危険源の洗い出し」「リスクの見積もり」「リスクの評価」「リスク低減措置の実施」「記録と見直し」という流れで進められている。空回りしている事業場は、入口である「危険源の洗い出し」を十分に理解しなかったために、機能不全を起こしていることが少なくない。

 危険源の洗い出しについては「リスクアセスメント再挑戦のすすめ(弊社刊、菊一功著)」が参考になる。具体的には、現場内の機械設備である「もの」に対して、リストアップを行うのが理解の近道という。建設現場でリストアップする危険源の例としては、グラインダー、ダンプ、カッター、鋸、掘削機といったものがある。指針ではあらかじめ危険源を分類したチェックリスト作成が求められている。リストアップした危険源はチェックリストに記入する。この段階では、危険源があるか、ないかのみで災害発生の可能性を考える必要はない。

 気をつけたいのは、「墜落の危険の有無」といったように事故の型からではなく、「高所作業の有無」などと危険源の型別で探すということだ。事故の型別からだと、手すりなどが設置されている場合、「墜落なし」と判断し、危険源のリストから漏れてしまう可能性があると指摘している。実際の現場では手すりが外れ、危険な状態になっていることもあり得るのだ。

 危険源のリストアップは誰が実施しても、漏れなく危険源を特定できるようにしなければならない。そのため、1人のベテランの感性や勘に頼るのは危ういといわざるを得ない。危険感受性が鋭いと社内の評価が高い人でも人間である以上、先入観や見落としの可能性が考えられる。実施する際は、職長を含めた複数の関係者で行うのが望ましい。

 成功のカギは危険源のリストアップといえる。正しい理解で、事業場にリスクアセスメントを根付かせたい。

2020年1月1日第2345号 掲載

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