【ひのみやぐら】安全の先取りで墜落防止

2017.11.27 【ひのみやぐら】
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 墜落・転落による死亡災害は、全産業で毎年のようにワーストワンとなっている。休業4日以上でも、転倒に次いで2位を占める。平成29年10月速報値の統計資料を見ても、「業種、事故の型別死亡災害発生状況」では全産業で175人と交通事故(道路)の119人を大きく引き離す。建設業では90人となっており、やはり2番目に多い交通事故(道路)の28人とその差は歴然としている。

 高所からの墜落・転落による災害は、労働災害防止を進めるうえで、一大テーマといえよう。地球に重力がある限り、高い箇所で仕事をする以上、万全の対策を取る必要がある。2m以下のいわゆる〝低所〟でも死亡災害や重篤な傷害を負う危険性があり、決して侮ってはならない。

 墜落・転落は、高い場所で作業を行っているとき、「足が滑って」「踏み外して」「自分の動作の反動で」などが原因となり、バランスを崩して落ちてしまう。このため、災害防止の決め手としては、まずは足場、手すりなどの〝落ちない設備〟の設置が重要だ。直立二足歩行する人間にとって、床に足の裏が付いていることは、なんとも心強いもの。次に安全帯などの保護具となる。安全帯は作業者の命を守るために必要なもので、決して墜落を防止するためのものではない。万が一のときの最後の砦と考えておきたい。墜落災害から労働者を守るには、「二重の安全確保」が重要になる。

 設備による対策を進める一方で、本質安全化も十分効果の上がる施策といえよう。機械安全のように堅固な防護柵などの設置でできる本質安全化とは違い、墜落対策の場合は人間行動によって起きるので対策が困難といわれる。こうしたなか、特集Ⅰで紹介する戸田建設関東支店の(仮称)埼玉県魚市場物流センター新築工事では、墜落・転落災害のリスクを減らそうと本質安全の考えに基づいた対策が講じられている。コンクリート梁を高所に上げる前に親綱や梁、足場板を先行設置しておくことで、高所作業を削減。施工前から危険の芽を摘み取っているという。

 「二重の安全確保」と「安全の先取り」をする本質安全化。両輪で墜落・転落災害を防ぎたい。

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平成29年12月1日第2295号 掲載

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