組織のあり方再検証を/社会保険労務士 山下事務所 山下 良一

2019.05.12 【社労士プラザ】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

社会保険労務士 山下事務所 山下 良一 氏

 平成6年に開業し、25年目になった。実務と並行して務めてきたLEC社労士講座の講師も、25年目に入った。

 その間、労働法と社会保険法が大きく変わった。社会保険法の一例であるが、平成6年の年金法の大改正、平成12年の介護保険施行、平成13年の確定拠出年金施行と、「少子・高齢化」の時代を受けて、新制度が相次いで施行されている。

 労働法も、平成15年に次世代育成支援対策推進法、平成20年に労働契約法が施行された。最近では、「働き方の改革」関連で、労働基準法、労働安全衛生法や雇用保険法まで改正されている。

 まさに、新しい法令が次から次に登場しており、毎年、社労士受験テキストが分厚くなっていく。

 法律は国民の代表が集まって決めた、社会のルールである。この決まりごとも時代とともに大きく変わっていくだろう。最近の働き方改革関連法も、「何が何だか分からない」というのが企業の実情だろう。社会のルールが大きく変われば、労働環境や賃金関連などの「価値観」も変わる。国民生活の基盤となる労働法・社会保険法のさらなる改正も考えられる。

 最近の受験指導のなかで、残念なことがある。それは、労務管理の内容があまり出題されない点である。つまり、社労士受験時代に、労務管理の仕組みや、専門用語を学ぶ機会を失っているのである。

 法令を学び、運用することが「労務管理」だと考える。入社から退職までの一連の労務管理手法や、人事考課、賃金体系、社員教育などは日常の企業活動には欠かせない内容である。「労務管理とは何か?」の疑問に、先人の知恵や工夫を学ぶ勉強が必要となる。古典的な「人間関係論」や「組織論」、「QC活動」、「ZD運動」「目標管理制度」など、先人の学者の理論や知恵が今、必要な時代ではないだろうか。

 人の根底には「感情」がある。人はすべて、理屈や法律で動くとは思わない。人が集まり組織を組み立てる。そして、集団の目標に向かって経済活動を行い、労働の対償である賃金を得て、個人の生活を営むわけである。

 組織は人の集まりである。個の人に関しても、互いの生活環境や年齢などで考え方の違いがある。意見の相違点や、価値観の違いも生まれる。その違いが組織を動かせる大きなエネルギーとなる。

 現在は、情報過多の時代であり、サービス過剰の社会である。労働関係法令の改正は、企業体質の変革のチャンスである。今一度「人」に関する理解と、組織のあり方を検証すべきである。これが本質的な「働き方の改革」だと私は思う。

社会保険労務士 山下事務所 山下 良一【東京】

令和元年5月13日第3208号10面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。