労務管理の道案内/社会保険労務士 佐藤雅彦事務所 代表 佐藤 雅彦

2020.11.15 【社労士プラザ】
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社会保険労務士 佐藤雅彦事務所 代表 佐藤 雅彦 氏

 私は2013年にサラリーマンを定年退職して大阪で開業した社会保険労務士である。普通そうに思えるが、ちょっと変わった人生経験がある。

 大学を出て最初に入った外資系企業で健康を損ねて転職し、県庁の非正規職員、中小企業の工場勤務、健康を取り戻した26歳の時思い切って4回目の転職に挑戦した。労働基準監督官試験を何とか一発合格して、当時の労働省に採用され、厚生労働省で定年まで面白い仕事をさせてもらった。

 自分の経歴を振り返ってみると、①正規社員と非正規社員、②大企業と中小企業、③外資系と国内企業、④同族会社と非同族会社、⑤労働組合がある会社とない会社、⑥民間と公務員、⑦サラリーマンと個人事業主――の計7種類に上る異文化経験が貴重な財産である。

 34年間の労働基準監督官の仕事では、グチャグチャな労使関係や悲惨な労災事故に幾度となく遭遇した。労働基準監督署で「何で俺が解雇になるンや、社長から解雇予告手当取ってきてくれ!」、「あの従業員、家族のように扱ったのに何で労基署に訴えるンや!」。こんな労使からの問いかけに、労働基準監督官時代には「あんたのせいやで!」を何度も飲み込んだ。

 今、私は社労士として労務や安全衛生問題の発生リスク低減などの相談への対応を主な活動としている。目的地は「エンプロイメンタビリティ」、すなわち働きがいのある魅力的な企業である。そして労基署の法令にかかわる「道案内人(ガイド)」の役割を兼ねていると思う時がある。私はモロッコを旅したとき「迷宮都市」ではローカル・ガイドなしでは歩けなかった。

 企業が判断に迷うケースについては、労基署での経験がある私は労務管理の「ローカル・ガイド」として、労使にとって最適な方向や危険回避の道案内に努めている。

 また、現在の労務管理では世代間の壁による迷路もある。

 働きやすい職場にはコミュニケーションが必須だが、松下幸之助さんや本田宗一郎さんを知らない20歳代と昭和から抜け出せていない50歳代の人が一緒に働いている。地方の方言が消失した今、私が名付けたこの「世代間方言」によってメンタルヘルス不調に陥ったり、意思疎通がうまく行かなくなったりすることがある。

 「大丈夫?」、そして本当の意味での「はい、大丈夫!」を期待して。

 めざすは魅力的な企業、私は労務管理でのリスク低減の道案内を心がけている。

社会保険労務士 佐藤雅彦事務所 代表 佐藤 雅彦【大阪】

【連絡先はこちら】
〒546-0032 大阪府大阪市東住吉区東田辺2丁目12−23

令和2年11月16日第3281号10面 掲載

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