【主張】景気拡大に冷水掛けるな

2018.08.23 【社説】
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 総務省が6月29日に発表した5月の労働力調査(季節調整値)によると、完全失業率は前月比0.3ポイント低下の2.2%となり、25年振りの低水準となった(6月は2.4%)。就業者数は、6698万人に拡大しており、統計開始以降で最多を記録している。

 失業率の改善により賃金が上昇し、消費拡大、物価上昇につながるというシナリオが成立しづらくなっている。十分な賃金水準に達しない非正規労働者が4割に高まったことが一つの要因とみられよう。適正なインフレ実現に向けて未だ道半ばの現時点において、消費税増税の断行は「逆噴射」となってしまう。

 政府が先ごろ作成した「経済財政運営と改革の基本方針2018」によると、19年10月の消費税増税が既定路線となっている。プライマリーバランスを重視するあまりに緊縮財政を追求しているが、雇用情勢が改善し、ようやく本格的な賃金上昇が待たれる現状では、時期尚早といわざるを得ない。

 今回増税時においては、駆け込み需要とその反動減が抑制されるよう具体策を検討するとしている。とくに、自動車や住宅などの耐久消費財に関しては、前回、反動需要減が深刻化したことを踏まえ、変動を平準化するための税制・予算による十分な対策を打つ予定としている。

 その対策規模は5兆円といわれているが、そもそも消費税増税によって生まれる税収を5兆円と想定していることから無理やりの増税と映る。厳しい反動需要減を恐れている時点で増税環境は整っていないといわざるを得ない。

 5年半に及ぶアベノミクスにより、日本経済は大きく改善しているのは明らかだ。デフレではない状況を作りだすことができ、名目・実質GDPともに過去最大規模に拡大した。緩やかではあるが長期間にわたって景気拡大が継続しており、その回復の長さは戦後2番目といわれる。

 わが国にとって経済を活性化させインフレ率を高め、GDPを継続的に拡大することの重要性は論をまたない。これからという段階で、冷水を浴びせる行為は避けてもらいたい。

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平成30年8月27日第3174号2面 掲載

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