【主張】経営マインド再び守勢に

2019.03.28 【社説】
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 19年春季賃上げ交渉で、自動車や電機などの主要企業が3月13日に一斉回答を示した。ベースアップが前年水準を割り込む企業がめだち、賃金引上げによる消費拡大というシナリオが描けなくなりつつある。デフレ脱却を目前にして多くの主要企業が守りの姿勢に転換した可能性がある。日本が再び経済規模縮小の悪循環に陥らないよう、政府は経済政策の軌道修正を図る必要が生じている。

 19年の世界経済は予想どおり減速局面に突入している。米中経済戦争に端を発した中国経済の成長率鈍化やイギリスのEU離脱問題などが大きな影を落としている。日本企業の経営マインドは、昨年後半までの状況から一転して悪化し始めた。

 内閣府がさきごろ発表した1月の景気動向指数をみると、3カ月連続の悪化で景気減速の可能性があると指摘、基調判断を下方修正した。12年12月から始まった景気拡大が、今年1月に戦後最長を更新したかどうか、はっきりしなくなっている。

 19年賃上げ交渉では、ベア実施企業が多くを占めたが、その上げ幅は前年を下回った。本紙集計によると、7割の労組でベアを獲得したものの、その平均は約1400円で、前年比200円ほど下落している。経済の好循環達成には、前年を上回る賃上げが必要だったが、困難になったといわざるを得ない。従来までの「官製春闘」の色彩が弱まり、ベアに対するこだわりも薄らいでいる。

 企業は、世界経済の先行き不安に対応して、固定費としての賃金引上げをできる限り抑制し、内部留保に回す傾向が一層強まった。全体として、守勢に入ったといわざるを得ない。労働者側も賃上げ分を消費に回さず貯蓄に振り向けているのが実態だ。デフレ脱却目前で再び経済規模縮小の悪循環に陥ってしまう懸念が強まっている。

 政府は、プライマリーバランス達成の呪縛から脱却し、消費拡大、内需喚起へ新たな方策を打ち出す必要がある。今こそ経済規模拡大に向けた思い切った政策転換が求められる。手を拱いている時間は残されていない。

平成31年4月1日第3203号2面 掲載

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