【主張】消費が高まらない理由は

2022.01.07 【社説】
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 経済財政諮問会議の有識者議員がさきごろ発表した「新しい経済社会の構築に向けて~『成長』と『分配』の好循環をどうつくるか」と題する提言によると、「日本経済はデフレではない」と明言している。一般国民の意識との間に大きな隔絶があるというほかない。最低賃金が3%程度上昇したからといって、勤労者全体の賃上げに勢いを付けるとも思えない。こうした現状認識がベースにある限り、今後の政策運営に希望は持てない。

 同提言によると「日本経済はデフレではない状況となり、生産年齢人口が約550万人減少する中で約500万人の雇用が創出された。また、年率3%程度の最低賃金の継続的な引上げを通じて賃上げのモメンタムも作り出された」としている。

 この現状認識を前提とすると、日本経済の大きな課題は「長期にわたる民間のアニマルスピリッツの消失と多様性の欠如から生じる硬直性である」となる。民間企業のアニマルスピリッツ消失により、最大の課題である低生産性が解消せず、むしろ悪化したという見方だ。同様の主張は、財政制度等審議会の建議でも表明されている。

 日本経済が高度成長を遂げた末に世界から揶揄された「エコノミックアニマル」を彷彿とさせる。日本の企業や勤労者は、アニマルスピリッツを忘れてしまいその結果、投資が進まず、現預金が積み重なり消費が高まらないという。再度、リスクを顧みない精神を発揮し、経済成長を勝ち残れと主張しているようだが、時代錯誤も過ぎる。

 新政権はそもそも新自由主義から転換し、「新しい日本型資本主義」をめざそうとしているのではないか。新自由主義とは、市場の競争原理を重視し政府による個人や市場への介入を最小限とする一方で、福祉サービスや公共投資などを極力絞った「小さな政府」をめざす経済思想である。だから、企業や勤労者のアニマルスピリッツの発揮が重要となってくる。

 同諮問会議が、経済低迷の主原因を、企業の経済活動上の取組み姿勢に求めているのなら、日本は浮かばれない。

令和4年1月17日第3336号2面 掲載

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