【主張】賃金上昇へ金融緩和継続

2022.04.07 【主張】
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 今通常国会で3月下旬に開かれた財務金融委員会において、日銀の黒田東彦総裁は、世界の流れに逆行し日本が大規模金融緩和を継続している理由として、企業収益改善とともに雇用改善、賃金上昇を目的としたものである点を強調した。目的達成に向けて粘り強く金融緩和を進めていくとしている。急激な円安を招き、さまざまな物品の価格高騰につながっているとする見方は一面的で、金融緩和は経済好循環に向けた不可欠な政策と位置付けるべきである。

 一般紙報道では、現在の円安に対する是非論が盛んになっている。ガソリンや原材料、加工・輸送コストの増加、食料品も広範に上昇している。電気・ガス料金は少なくとも夏場まで高止まりするとの見通しがあり、日本経済にとって痛手以外の何物でもないとして、金融緩和の継続を疑問視する報道がめだつ。

 しかし、この見方は木をみて森をみないもので、舵取りを誤った方向に導く。国会で黒田総裁は、現在の価格高騰の主要因をエネルギー自体の価格上昇にあるとし、円安の影響は相対的に少ないとした。一方、円建てでみた企業収益はしっかりと改善していて、設備投資や賃金引上げにもつながっていると述べている。つまり、全体としては日本経済にとってプラス効果の方が大きいとの説明をした。

 世界の先進諸国は、パンデミックにより経済に大ダメージを受けたにもかかわらず、金融緩和と大規模財政出動により立ち直り、インフレへの転換に成功した。これに対して日本は、中途半端な経済対策しか行えなかったために未だ再生できないでいる。世界の流れに沿うべきとして、現時点で日本が金融引締めに転換したら、賃金上昇の道筋が断たれ、経済好循環が道半ばで終局することになる。結果として、日本はさらに貧困化していくだろう。

 このため黒田総裁は、「粘り強い強力な金融緩和を続けて経済活動をしっかりサポートし、企業収益や雇用、賃金が増加する好循環の下で物価の緩やかな上昇につなげていく」との見通しを語った。一般紙報道に傾くことなく、日銀の政策を支持すべきである。

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令和4年4月11日第3348号2面 掲載

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