【主張】引き継ぐべき「官製春闘」

2020.10.15 【社説】
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 各機関がさきごろ今春の賃上げ交渉結果を明らかにした。厚生労働省、経団連、連合のいずれも前年を大きく下回る賃上げ率だった。厚労省の集計では、ちょうど2.00%で、辛うじて2%台を維持したが、平成25年の1.80%以来の低さである(=関連記事)。

 結局、前政権がめざした賃金増によるインフレ率2%の達成はできなかった。新型コロナウイルスの影響もあったが、大きかったのは昨年秋からの景気の大幅落ち込みである。菅政権は、経済成長優先の旗印を今後も降ろさないとしている。コロナ禍を跳ね除けて、来春の賃上げ率アップにつなげたい。満身創痍のままこの社会を次世代に引き継ぐことはできない。

 コロナ禍の追い打ちによりインフレ目標はとうとう達成できなかった。春季賃上げ率が、1%台に落ち込もうとしている現状では、いまのところ消費拡大の望みも消失した。それまでの雇用情勢改善は高く評価できるが、残念ながら日本経済全体を押し上げる契機とはならなかった。

 最大の原因は、中途半端な経済対策にある。日銀による異次元の金融緩和と積極的な財政出動が両輪となって、景気拡大を引っ張らなければならないが、後者の財政出動が不発に終わった。長年にわたって、プライマリーバランス達成が政府目標に掲げられていたことが背景にある。

 ただ、コロナ禍にあって日本は緊急的な大規模財政出動などにより、欧米と比較して経済の落ち込みが浅くて済んでいる。この災禍をうまく乗り切れば、その後、世界経済をリードできるチャンスとなるかもしれない。デフレスパイラルを呼び込んでしまった誤った経済政策を反面教師とすべきである。

 前政権の政策を引き継ぐのであれば、来年も「官製春闘」をめざして欲しい。賃上げは、最終的に個別労使で決定するもので、官の立場では要請するのが精一杯である。しかし、国力増強という意味では利害は一致している。公労使が一体となって盛り上げていくことはできる。可能な限りの手を打った前政権の前向きな姿勢を変えないでもらいたい。

令和2年10月19日第3277号2面 掲載

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