【主張】ベア3%は必達の目標に

2022.11.04 【主張】
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 20年以上にわたる賃金の低迷から抜け出すには、1%の上乗せはいかにも物足りない。連合は来春の労使交渉に向け、定期昇給分込みで「5%程度」の賃上げを求めるとする基本構想をまとめた(関連記事=賃上げ分3%程度要求へ 基本構想まとめる 連合)。2016年から掲げてきた「4%程度」の目標を引き上げたもので、ベースアップに当たる賃上げ分を2%程度から3%程度に高めている。物価上昇の影響を排してコロナ禍からの回復をめざすうえでは、獲得必至の水準といわざるを得ない。

 家計への影響を示す総務省の消費者物価指数(総合指数)は、8月に続いて9月も前年同期比で3.0%増となった。4月に7年ぶりとなる2%台(同2.5%増)に乗せて以来、勢いに衰えはみられない。賃金の目減りする状況が続いており、毎月勤労統計調査では4月以降、賞与を除くきまって支給する給与の実質賃金指数が、前年同期比1.3~1.9%減で推移している。穿った見方をするなら、今年の定昇分が物価上昇分で相殺されたような形になってしまっている。

 一部の企業はこうした変化にいち早く対応し、特別一時金を支給したり、時限的に月1万円の手当を設けている。多くのケースで契約社員や再雇用者も含めて一律同額を支給しており、その点はかつてのベアのあり方にも重なってくる。14年のベア復活以降、若年層=下位等級に的を絞った改善なども行われてきたが、今回ばかりはふさわしい措置とはいい難い。

 連合による今年の賃上げ集計(平均賃金方式)では、定昇分込みの賃上げ計は率で2.07%、賃上げ分は0.63%だった。方針として掲げた4%程度、2%程度との差は小さくなく、来春も同程度の乖離が生じるとしたら、賃上げ分を獲得しても実質マイナスになりかねない。とはいえ、自社の製品・サービスの値上げに踏み切った大企業が、いたずらに人的投資をおろそかにするとも考えにくい。

 ベア本来の目的=物価上昇に直面するなか、交渉の重みは変わってくる。中小を含めて3%を必達の目標とするため、政府には価格転嫁へのさらなる後押しを期待したい。

令和4年11月7日第3375号2面 掲載

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