【主張】消費拡大へもうひと押し

2017.03.13 【社説】

 3月15日に自動車、電機などの大手労組に対して賃上げ回答が提示される。2017年の春季労使交渉の本格スタートである。「官製春闘」も4年目となるが、今春の賃上げ環境は極めて良好だ。本紙の賃上げ予想は、ベア・定昇込みで2%程度だが、これを上回る結果を期待したい。日本経済の一段の底上げに向けて、労使ともにぎりぎりの交渉に取り組んでもらいたい。

 今春の労使交渉は、いずれの経済指標も上昇傾向の中で展開される。鉱工業生産指数をみると、昨年秋以降の在庫の急速な減少に伴って、生産が大きく回復している。輸出入指数は、輸出の持ち直しと同時に、貿易収支が一層改善した。賃金水準に直接影響を及ぼす雇用情勢も平成21年を底とし、以降7年間にわたって回復基調が続いている。

 労使双方の交渉姿勢も高く評価できよう。とくに、カギを握る使用者側では、経営労働政策特別委員会報告(経団連)において、前年まで続いてきた賃金引上げの勢いを、今春においても継続すべきであると強調している。収益が拡大した企業や中期的に収益体質が改善している企業は、賃金引上げを前向きに検討すべきであると訴えた。

 経団連の榊原会長は、記者会見で今年度の企業業績について次のように語った。「企業努力と為替の安定もあり、下半期では多くの企業で業績改善がみられる。通期でもこうした傾向が続くとみている。春季労使交渉にも良い影響が出ることを期待したい」。

 労使双方の見方が大きく異なるとすれば、月例賃金の引上げにこだわるか、年収ベースの引上げにまで視野を拡大するかである。年収ベースとは、月例賃金の引上げを含め、賞与・一時金の増額、諸手当の見直しなども含めた考え方としている。

 アメリカからの円安批判が一段落し、賃上げに向けた環境に明るさが増している。昨年の実質賃金指数が5年ぶりにプラスに転じたこともあり、今春の賃上げ結果によっては、消費拡大に弾みが付いて経済の好循環と経済成長の実現へつながる可能性がある。デフレ脱却へ向け最後のハードルをクリアしたい。

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掲載 : 労働新聞 平成29年3月13日第3104号2面

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