【主張】賃金改善でさらに安定へ

2017.07.24 【社説】
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 東京都内の不当労働行為救済申立て事件数が減少傾向にある。平成28年に取り扱った事件数は全体で398件で、このうち新規係属件数は97件だった。新規係属件数は、前年117件、前々年132件と比較すると大幅減といえる。終結事件をみても、命令・決定による解決は19件(前年25件)にとどまり、多くのケースで和解が成立した。

 過去30年程度の推移をみると、その時々で変動はあるものの長期的には減少傾向が続き、労使関係は着実に安定方向に向かっていることが分かる。昭和60年ごろの取扱い件数は、全体で500件を優に超えていた。

 とくに、近年ではアベノミクスによる景気回復が功を奏して、大手・中小を問わず先鋭的な労使紛争は影を潜めているとみていい。都労委では「失業率の低下などの社会情勢の影響」を受けた結果と判断している。

 しかし、紛争内容を詳細に調べると課題がないわけではない。賃金や賞与問題にかかわる申立てが高止まりしている実態があり、紛争面からみても処遇改善に向けた取組みが重要と訴えたい。

 団交拒否事件の交渉項目をみると、「賃金・賞与」が3割と最多で、以下「賃金以外の労働条件」が16%、「解雇」が13%などとなっている。「中小規模企業の雇用や所得に関する紛争は減っておらず、環境改善は大企業ほど進んでいない」というのが都労委の見方だ。

 労使関係が安定方向にある一方で、中小規模での賃金・賞与にかかわる紛争は必ずしも減少していないのが現実とみることができる。景気が回復基調にあって、未だ賃金水準が取り残されている実態を反映した傾向とみることができよう。

 労使紛争は、社会の実相を映すカガミと考えれば、今後は賃金改善に真剣に取り組み、トラブルの根絶を図る必要がある。労使関係は安定していると感じている労働組合が9割に達しているなど、生活水準の向上や成熟化により社会不安は減少しているのは事実だが、一つひとつ課題を解決していき、さらに一歩先へ進んでいきたい。

平成29年7月24日第3122号2面 掲載

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