【主張】仕事・役割重視へ転換を

2015.12.07 【社説】

本紙報道によると、大手電機メーカーのパナソニック㈱が、管理職、組合員を含め全面的に役割等級基準による人事賃金制度に移行したという(10月26日号8・9面)。従来までの能力基準から脱却し、グローバル企業にマッチした仕事基準の処遇制度への改革が実現した。同社の試みは、中堅規模以上の多くの企業にとって手本となり得る。

わが国企業が、いわゆる職能資格制度から脱却し始めたのは1990年代からだった。バブル経済の崩壊を機に、年功的運用となっていた職能資格制度が企業経営上の大きな重しになったのである。そして大手企業がこぞって成果主義人事賃金制度へと舵を切っていった。短期的な成果・業績に処遇をリンクさせた年俸制度などが急速に浸透した時期である。

その目的の多くは、人件費コストの適正配分と削減にある。成果に見合った処遇を徹底して配分の適正化を図りながら、全体としての人件費コスト縮減をめざすものである。成果が出せない社員は、処遇が大きく後退し職場を離れざるを得なかった。

バブル崩壊後の大手企業はどこも息絶え絶えで、巨大外資に飲み込まれるか、倒産するかの恐怖に晒されていた。成果主義を導入したり、非正社員化を拡大して人件費コスト縮減を図る以外に生き残る道はなかった。

このころから一部大手企業で広まっていったのが、役割等級制度である。短絡的な成果で処遇するのではなく、仕事や役割の評価をベースとする人事賃金制度といえる。それぞれの仕事や役割をしっかりと定義することによって、そこへ到達するために必要なスキルが明確になり、中長期的な人材育成にも有効となる。腰の重い大手電機メーカーが役割等級制に移行したことのインパクトは大きい。

わが国は、苦しかった「失われた20年」からようやく脱しようとしている。これを機にグローバル化をも見据えた人事賃金制度に飛躍する必要がある。職能資格制度は戦後日本の処遇制度を支えたもので、大きな功績があった。いまこそ仕事・役割基準重視へ移行すべきであろう。

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掲載 : 労働新聞 平成27年12月14日 第3044号

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