【主張】定昇凍結は戦術的にも露骨過ぎ

2012.02.20 【社説】
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 先月25日、経団連の米倉弘昌会長と連合の古賀伸明会長が、都内の経団連会館で会談し、12年春闘が本格スタートした。会談内容はのっけからけんか腰で、70年代後半から40年以上にわたって続いている「労使協調路線」から脱線するのではないかと心配させるものだったようだ。連合の給与総額を全員1%ベースアップせよ、という要求はひっ迫している経営状況から、いささか無理な注文のようにも感じられたが、経団連はそれを論外と突っぱねたことに加え、「定期昇給の維持」についても、雇用の維持・創出の観点から、延期・凍結も含め厳しく判断すると否定的な考えを明かしている。

 労働者の平均給与所得は、97年に比べ5%減少したままだ。定昇凍結による可処分所得の減少を受け消費低迷が続けば、デフレ脱出はできないという連合側のいい分の方が真っ当といえよう。経営側の指針である経営労働政策委員会報告の中に、「負担が重い企業では定昇の延期・凍結を含め厳しい交渉を行わざるを得ない」と明記するのは行き過ぎではなかろうか。

 数年前、経営団体が会員の経営者に意識調査を行ったところ、これまでの株主第一という立場を変え、従業員こそ「ステークホルダー(利害関係者)」として、大切にすべきとする回答が過半数に達していた。基本的姿勢が経営状況でくるくる変化したのではもはや「労使協調路線」を保つことはできまい。

 加えて、日本脱出による国内産業の空洞化を賃金交渉のテーブルに乗せるのはいかがなものか。日本に比べ賃金水準が100分の1というミャンマーで高付加価値の製品が作れるかどうか、連合は迫ってもいいのではなかろうか。

 本紙1月16日号(1面)で日本賃金研究センター・楠田丘代表幹事は「定昇を欠かせば明日の輝かしい日本は消滅する。年齢給(定昇の基盤)が欠けている賃金体系は日本の経済、社会を滅ぼす。定昇は子女の最低生活費を保証するものだからである」と指摘した。単に春闘だけではなく、労働者の生殺与奪を握るテーマが交渉テーブルに乗っている自覚を期待したい。

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平成24年2月20日第2861号2面 掲載

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